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自律神経 - Part 2の記事一覧

怒りのコントロール

2021.06.13 | Category: 自律神経

怒りが沸き起こる時というのは、「闘争か逃走か」の選択のスイッチが入り、身体の中ではアドレナリンやコルチソールが大量に放出されます。

その放出回数が多い人は、虚血性心疾患になる率が高いことが知られています。

中でもタイプAの人達は性急で敵対心や怒りに動かされやすく、競争心や功名心のレベルが高く、この傾向が顕著だと言われています。

この様な性格傾向の人達の怒りのセルフコントロールのやり方をアメリカの精神医学者が考えました。

まず「自己説得法」というのは、腹の立つ事を、こだわり続ける価値があるほど自分にとって重要な問題かどうかを考え、怒る価値、正当性、対応の効果の3点について、自問して評価を下す方法です。

それで怒りを捨てられた時には、自分を誉めます。怒りが治まらない場合には、怒っている事で自分の心臓の血管が傷ついている様子をイメージします。

次ぎは「ストップ法」、敵対的な情動が起こったら、すぐさま「ストップ」と声を出して(あるいは黙ったまま)思考や判断停止の状態に自分をもっていきます。

「紛らわせ法」、周囲の注意を引くものに意識を集中して、怒りの対象から意識をそらす様にします。

それでも、怒りが収まらない場合は「瞑想法」。腹式呼吸や自律訓練法等を利用すると瞑想もより入りやすいと思います。

「節制法」は普段の生活で怒りを増幅させるような習慣をやめるようにします。

また、仏数的な考え方の中に怒りのセルフコントロールの方法があります。怒りの相手に対する「憐れみや悲しみの情への転化」という方法ですが、なかなか効果がある様です。

心臓のセルフコントロール

2021.06.13 | Category: 自律神経

五臓六腑の機能の中で我々の意思で、モットモたやすくセルフコントロールできるのが肺臓の呼吸です。

ですから、呼吸法は世界の多くの養生法や健康法、リラクセーション法の中に採り入れられています。

特に、腹式呼吸は心身の調整の基本として、また宗教の修行の中にも見られます。腹式呼吸は筒単に言えば骨格筋由来である横隔膜の上下運動です。

その上下運動は横隔膜を貫いている消化管や大動静脈や迷走神経等を刺激して、かつ腹腔内をマッサージする事にもなります。

更に、腹式呼吸の特徴である深くてゆっくりした呼吸によるリラックス効果もあり、心身の調整になるのです。

また、アメリカの面白いデータがあるのですが、心臓発作に見まわれた患者に腹式呼吸法を日常的生活に取り入れる様に指導したところ、再び心臓発作になる確率が激減したそうです。

なぜ、横隔膜を使う呼吸が心臓発作を抑える事が出来たかは解剖学的にみると納得できます。

アメリカのアンドリュー・トーマス博士は心臓と横隔膜の関係について横隔膜が第二の心臓である根拠として次のような事を述べています。

心臓は横隔膜腱中心の真上にあり、心臓は心膜でしっかり横隔膜に結ばれています。その繋がっている部分は非常に広範囲に渡っています。

また、心臓は間接的に胸骨と首の下の関節に繋がっていますが、しっかり固定されている分けではありません。

横隔膜の上下運動は確実に、心臓に伝わる様になっています。

つまり、この構造から言える事は、腹式呼吸による横隔膜の上下運動は、その度に心臓をマッサージする効果があるという事になります。

心臓疾患や発作の危険性を持った患者さんはかなりいると思います。

ですから、心臓のセルフコントロールの手段として、腹式呼吸を指導する事は大切なのです。

免疫系を自己制御する

2021.06.13 | Category: 自律神経

人間の臓器のほとんどは、交感神経と副交感神経の自律神経支配を受けていますが、白血球に関しては知られていません。

血管や臓器等の細胞が神経支配を受ける場合には、神経の終末が細胞付近に存在するのですが、白血球の膜上にもアドレナリンやアセチルコリンの受容体が確認され、自律神経支配を受けている事が最近の研究で明らかになったのです。

白血球には大別すると顆粒球とリンパ球があって、顆粒球は侵入病原体や不要細胞を貪食する細胞性と、リンパ球が増えてアレルギー症状が現れたり、鬱状態に陥ったりします。

顆粒球やリンパ球の過剰状態によって引き起こされている疾病は数多くあり、自律神経を調整する事でこれらの疾病はかなり改善すると考えられます。

自律神経のセルフコントロールにはシュルツの自律調練法をはじめ、いくつかの自己制御法があり、これらの方法で自律神経を調整すれば白血球をコントロールする事が可能なのです。

ライフスタイル療法

2021.06.13 | Category: 自律神経

生活習慣病はライフスタイルを変える事で予防・改善ができます。生活習慣を変えるのは非常に難しいものですが、行動療法を応用したライフスタイルのコントロールでは次のようなステップを試みます。

1.問題行動を具体的に捉える(セル フモニタリング)
例えば「どんな時に食べ過ぎるか」「その結果どう感じるか」等、行動とその時の状況との関係を知ります。記録や日記をつける事も有効で、これだけで行動が改善する場合もあるほどです。

2.効果があって、できそうな目標を立てる
「食べ物をストックしない」「必ず家族と食べる」等、具体的でできそうな事から試みます。一度に多く設けないで、7、8割できそうな事から始めます。

3.改善したらその変化を強化しながら新しい行動を少しずつかたち作る
「ウォーキングを始める」「血糖値や血圧を自分で測る」等、それまで生活の中に無かった新しく望ましい行動を始めます。

ポイントは、悪い所は自分で気づく様に工夫する事が大切ですが、まず長所を伸ばす事で欠点を目立た無くする事です。

目標は「意志を強く持つ」等の性格的な事や抽象的な事で無く、上記の様に具体的な行動を設定します。

過食や禁酒、禁煙ではじっと我慢せざるを得ない面がありますが、その時は「好ましく無い行動を起こしそうな状況にならない様にする(例:食べたくなったら外出する)」等して同時にできない行動に置き換えて環境を変える等の工夫をします。

行動療法では具体的な目標を実効する事が達成感にも繋がり、この技法自体がストレスを軽くする効果があるといえます。

行動療法

2021.06.13 | Category: 自律神経

行動療法とは1950年年代に出現した心理療法です。他の心理学が人間の深層心理や無意識の面から、人間全体にアプローチしていく様な哲学的な体系が多いのに対して、対象とその反応(=行動)を変化させる為の技術的方法の全体に過ぎないといっても良いでしょう。

その考え方のベースにあるのは、人の行動は言葉で説明する事ができ、予測や制御をする事ができる、つまり定式化できるという事です。

人は刺激に対して反応し、その繰り返しの仕方が、その人特有の生活パターンや行動パターンを作ります。

つまり、行動療法とは刺激と反応の枠組みの中で行動を捉え、そこで明らかになった問題を実際の場面で応用する技術なのです。

もちろんその場合、単なる“行為”だけでなく、不安や憂鬱感等の感惰、思考や物の見方等も含めます。感情や思考も、ある刺激とそれに対する反応が積み重なって、その人のパターンとなっています。

もちろん行為と感情と思考は互いに作用し合います。その様に刺激・反応の繰り返しで出来上がったその人の行動パターンを言語化する事によって、問題点を自覚させます。そして好ましく無い習慣や行動を変えようとするのです。

ですから行動療法では、「なぜその様な行動をするのか、行動に隠された意味は?」という分析は問題にしません。

その行動は「現にどの様に起こっているか」に注目します。つまり当面の好ましくない行動(感情も含む)を変化させるためには、「今できる事」に注目して実行する事で、自動的になっている反応に介入して望ましい行動ができる様に仕向けるのです。

ですから具体的で、セルフコントロールとして誰でもが応用しやすい方法だといえます。

現に行動療法は、精神医学や心身医学の分野だけでなく、健康医学、リハビリ、教育、司法、環境など、実に広い分野で効果を上げており、方法も技術化されていて、バリエーションも実に多彩です。

自律訓練法

2021.06.13 | Category: 自律神経

セルフコントロール、というと誰もが知っているのが心理療法である自律訓練法です。

この自律訓練法はドイツの神経料医のシュルツが1932年に「自律訓練法一注意集中性自己弛緩法」を出版してから世界的に広まったストレス対処法です。

この訓練法は、当初催眠療法的な色合いが強かったのですが、次第に科学的訓練法として受け入れられるようになり、リラクセーションばかりでなく神経症や心身症の療法して発展してきました。

元々ストレスとは生物が生命の危機に面した時の緊張や不安が、自律神経系や内分泌系の反応を引き起こした状態だといえます。

このストレスに対応するための心身のリラックスを自分で訓練する事によってできるようになるといいます。

自律訓練法には、基礎的な標準練習、瞑想練習、自律性中和法、自律性修正法などがありますが、七段階の練習からできている標準練習が全ての基盤にあります。

自律訓練法では、原則として、必ず同じ言葉の「公式」を心の中で繰り返し唱えます。
背景公式(安静感練習)「気持ちが(とても)落ち着いている」
第一公式(四肢重量感練習)「両腕両脚が重たい」
第二公式(四肢温感練習)「両腕両脚が温かい」
第三公式(心臓調整練習)「心臓が静かに(自然に)規則正しく打っている」
第四公式(呼吸調整練習)「楽に(自然に)呼吸をしている」
第五公式(腹部温感練習)「太陽神経叢(あるいはお腹)が温かい」
第六公式(額部涼感練習)「額が(心地よく)涼しい」

このような順序で公式にそって、練習は一回3~5分程度、1日2~3回。初めの内は短めにした方が、集中が途切れずに良い様です。

また、訓練を終了する時には、屈伸、深呼吸、開眼の順に消去動作を行なうと良いでしょう。

副交感神経の興奮

2020.08.31 | Category: 自律神経

動物実験で明らかにされた興味深い報告かあります。

ラットを自由に動ける状態で電気ショックを与えると交感神経系が亢進します。

しかし、そのラットを拘束して同じ刺激を与えると、副交感神経の興奮を示す徐脈が現れたのです。

この結果から、「闘争か逃走」の選択が出来る内は、交感神経が優位に興奮するのですが、拘束されて戦う事も逃げる事も出来ない絶望的な状態になると副交感神経が優位になるのです。

人の場合も、実験的に暴力的な映像や臨終や交通事故の映像を見せられると副交感神経が興奮して心拍数が減少したと言う報告があります。

また痛みを感じたり、痛みを予感するだけで副交感神経の更新が起こる事があります。

つまり強い心理的ストレスや耐えがたい痛みを受けると心拍数の減少や不整脈が現れるのです。

更に副交感神経の持続的な興奮は、血圧の低下、排便・排尿、消化管運動の亢進、消化液の分泌亢進、喘息発作等も起こします。

過剰なストレスは不安や絶望感などの情動反応を引き起こすばかりで無く、身体の恒常性が乱れ、その不快さからよりひどい情動反応を引き起こす悪循環に嵌る可能性があるのです。

便秘と欝病

2020.04.25 | Category: 自律神経

人は誰でも緊張の高まった状態になると、どうしても自律神経系の交感神経優位の状態になります。

欝病の状態は、それ自体が強い緊張とストレスを生体に与え続けてしまいます。

当然、自律神経のバランスは崩れ、交感神経優位の状態が恒常的に続きます。内臓の働きを促す副交感神経の働きは抑制され、その結果便秘に悩まされる事になります。

ですから、欝病かそうで無いかは、便秘があるか無いかで見分ける事が出来るとも言われています。

また、欝病の薬である向精神薬の中には、アセチルコリン作動性を抑制する効果(抗コリン作用)を持っている物が多いのです。

このアセチルコリン系は、自律神経の神経伝達物質であり、副交感神経に作動します。

この抗コリンの副作用として、口の渇き(口腔粘膜の粘着性の分泌による)と便秘です。この事で、欝病の患者さんは、薬を飲むと、益々便秘に苦しめられてしまうのです。

天気と身体の関係

2020.03.21 | Category: 健康,自律神経

東洋医学では日、月、季節による身体の変化を陰陽五行で説明していますし、昔の人は様々な疾患が天気と関係している事を経験的に知っていました。現在この気象の変化が身体に及ぼす影響は学問的に研究されていて気象医学というジヤンルになっています。例えば、フェーン現象の時は、情緒が不安定になり易く、労働災害や交通事故が起こり易いとか、移動性高気圧が喘息の発作を誘発する等が分かっています。最近明らかになった興味深いものに、免疫系の白血球のリンパ球と顆粒球と気圧の関係があります。これは新潟県立坂町病院の福田先生が、2年に渡り虫垂炎の手術をした112人の患者さんと天気の関係を記録し分析した所、低気圧の時の虫垂炎は軽症で、高気圧の時は重症例が目立つ結果が出たと言うものです。血液データを見ると、高気圧の時はリンパ球が減少して顆粒球が増加していました。更に新潟大医学部の安保教授グループらが気圧と血液との関係以外に、呼吸数と脈拍の変動とも関連付けて研究した結果、呼吸と脈拍は高気圧では高まり、低気圧では低下していたのです。この反応には自律神経が当然関与しています。更にリンパ球と頼粒球を調べると、リンパ球には副交感神経の刺激物質アセチルコリンの受容体があり、類粒球は交感神経のアドレナリン受容体を持っていたのです。正に、神経系と免疫系が協同して天気に対応していたのです。しかし、気圧の変動で何故このシステムが働くかは、確定されていません。

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