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循環器 - Part 4の記事一覧

脈は波動なのだ

2020.04.05 | Category: 循環器

東洋医学では脈の状態を診る脈状と、脈診の部位によって経絡の虚実を比較して診る方法の二つの脈診があります。

血管を流れる血液の状態を知る事により、脈その物の深浅、緊張度、太さ、調子、速度等から病状を考えます。

そこで脈とは何かという事で循環動態という医学の分野の面白い報告があります。実は脈は波動であるという事です。

海岸に打ち寄せる波は、岸に次々打ち寄せてきます。しかし波間に浮かぶ物はただ上下しているだけで進んでいる様に見えません。進んでいる様に見えた波も波形が連続的に位相を変化させているだけです。

つまり海の表面を粗密波が伝播している現象なのです。

心臓の拍動が伝わる現象を見ると正にこの粗密波の伝播であると言うのです。

この波を起す震源地になるのが大動脈弁口部です。

威勢よく血液が通過する時弁口部に振動が発生して、この振動が血管壁を伝播して行くのです。

と言う事は、手首の動脈で触れた拍動は血液では無く、毎回血液が心臓から飛び出す時に発生する振動が動脈壁を通って手首に行く現象なのです。

因みにこの脈波の伝播の速度は、血流速度のおよそ秒速0.7メートルの約10倍の秒速メートルと言う事です。

特に「素問」の三部九候診にある9か所の拍動を診る古典的な診療法は、各部位の血管壁の波動の微妙な変化を感じた昔の人達の素晴らしい切診技術であった訳です。

動脈硬化原因異説

2020.04.04 | Category: 循環器

粥状動脈硬化の原因は、血管の内皮が傷付き単球やマクロファージ等が血管壁に入り込み、変性したLDLを取り込んで泡沫細胞として粥腫となる、というのが一般的ですが、血管を構成している蛋白質の変性に原因があるという説があります。

動脈の内側には薄い膜があり、その下に内皮細胞が並んでいます。

その細胞の間には微小管孔という赤血球も通せないほど小さな3~5ミクロンの孔があり、その孔は動脈壁に内側から栄養や酸素を与えている、つまり血管の血管であると考えられます。

その微小菅孔は蛋白質で出来ていて、微小菅孔を出入りする血漿成分を取捨選択していますが、それらの組繊蛋白が変性した為に動脈壁は栄養不足、酸素不足になり動脈硬化を起すと訳けです。

組織蛋白(エラスチンやコラーゲン、糖蛋白、グリコサミノグリカンス等)が変性するとヒスチジノアラニンら微量物が出来て変性した蛋白質を繋ぎ合わせます。

更に別の異種蛋白も出来て、この蛋白が脂肪やカルシウムと親和性かある為に、コレステロールなどの粥腫を構成する事なると言うものです。

動脈硬化の原因や促進要因に高血圧、高脂血症、糖尿病があるのは勿論ですが、これらの疾患の全てで動脈硬化が生じる訳ではありませんから、動脈硬化を発症するに至るのは出来の悪い蛋白が作られ易い事があるのかもしれません。

動脈硬化が出産促進?

2020.04.03 | Category: 循環器

妊娠すると胎児は母親から栄養を貰いながら10ヵ月をかけて育っていきます。

その母親からの栄養は胎盤から胎盤動脈、臍帯動脈を通って胎児に届けられるのですが、その胎盤動脈が発生してから役割を終える出産までの過程は、人の動脈の一生と同じ過程を辿ります。

動脈は、発生した後成長成熟し、やがて老化し動脈硬化となって行きます。胎盤動脈は10ヵ月の間にそれと同じ様な過程を辿るという分けです。

胎児が成長してそろそろ出産という2~3週間前からは胎盤動脈の内腔が厚くなり、出産時には全く閉塞状態になっています。

その組織学的特徴は人の動脈硬化の特徴と同じなのです。

流産や早産で10ヵ月に満たずに胎児が母体から出た時、その胎盤動脈は閉塞を起しており、10ヵ月経っても陣痛が無く、止むを得ず陣痛促進や帝王切開の処置をした時の胎盤動脈は閉塞が起こって無い事が多いそうです。

出産の時期は直接的にはホルモンによるものだとしても、この胎盤動脈の動脈硬化が影響している事は確かです。胎盤動脈の耐用期間を10ヵ月と決めて、妊娠期間で出産出来るよう、ホルモンだけでなく、栄養補給の装置の面からもプログラムしているのでしょう。

高血圧と腎臓

2020.03.20 | Category: 循環器

人類は進化の過程で、海中から陸上に生活の場を移したのですが、この事を可能にした臓器のひとつが、泌尿器系の腎臓なのです。腎臓と血圧の関係で言えば血液や体液の流れを円滑にする為に働きますが、言い替えれぱ塩分が容易に摂取出来ない環境でかつ重力に抗して生きる為に、腎臓と血圧は密接に連動して働いているのです。塩分を殆ど摂取し無い民族を調査すると、高齢者になっても高血圧にはなりません。しかし、塩分に含まれるナトリウムは細胞の代謝に絶対必要な物です。そこで腎臓の重要な機能の一つにこのナトリウムをいかに体内から出さない様にするかがあります。所でで、塩分を過剰に摂取するとなぜ血圧が上がるのでしょうか。実は本態性高血圧の人は元々尿細管のセンサーがかなり高い血圧をかけないと塩分を排泄しない様にプログラミングされているからだと考えられています。つまり、本態性高血圧の人は、元々塩分を体内から排泄させない能力が通常の人より勝っているとも言えるのです。海洋民族と遊牧民族の様に環境における塩分の摂取量が異なる地域のこのプログラミングに違いが出て当然です。高血圧の無い民族も文明化して塩分を摂取する事になると、その能力の為に高血圧になってしまうのです。腎臓のこの機能を考えると、塩分が血圧にいかに悪いかがうなずけます。

しゃがむ姿勢と血圧

2020.03.19 | Category: 循環器

血圧は動作や姿勢を変えるだけでも、簡単に変化します。体位の中で一番血圧が低いのは仰臥位(仰向けになった状態)ですが、真っ直ぐ立った状態(立位)では少し血圧が上がります。これは身体を支える為に大腿の筋肉が緊張し、脚の血管も収縮し、血圧が下がらない様に交感神経が緊張して血圧を上昇させるからです。ところがもっと血圧の上がる姿勢はしゃがみ込む姿勢(蹲踞ソンキョ)で、大腿部が下腿部で圧迫され、末梢の血管が圧迫され、末梢血管の抵抗が上昇して血圧を上げるのです。それに身体を支える筋肉の緊張度はしゃがむ方が立つより高く、交感神経の緊張もより強く血圧に影響します。戦いの前に蹲踞の姿勢を取るものには相撲や剣道がありますが、この姿勢を取る事によって、適度な筋緊張を保ち闘争の意欲をかき立て、試合中の動きを良くすると考えられるのです。

冠動脈手術後再狭窄

2020.03.18 | Category: 循環器

心筋に血液を送る冠動脈が狭くなる狭心症の医療ではステント療法が一般です。以前はバルーン療法を用いてました。しかし、バルーン療法は、30~40%の確率で療法後6ヶ月から1年以内に再狭窄を起す事ことが分かりました。風船の圧力だけで血管を押し広げる際血管に傷がつき、傷の修復過程で再び脂質が溜まり、血管が狭窄するのです。その為、バルーン療法と共に、カテーテルの先に脂質を割り取るカッター療法や、脂質を溶かすレーザー療法が行われるようになりました。しかしバルーンで拡張したり、脂質を取り除くと血管がいびつになって、うまく広がらなかったり、広がっても元に戻ったり、療法中に血管が詰まったりする事があるのです。今ではステントという網またはコイル状の金属の筒で、広げた血管が再び狭くならないよう内側から支え、血管の狭窄を防ぐ方法が行われています。ステント手術後患部が再狭窄する事がありその場合はバルーンを用いたりしますが一般的には内側に再度ステント手術を行われています。最近は再狭窄を防ぐ為薬剤を塗布した薬剤溶出型ステントを用いたりしますが確率は下がるものの再狭窄はやはり起こります。それなら最初からバイパス手術が良いのでは無いかと思われますが開胸手術をして1カ月の入院期間等の患者負担も考えてステント手術が通常は行われています。

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