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循環器 - Part 2の記事一覧

高齢者と心原性脳梗塞

2021.06.18 | Category: 循環器,老化

高齢者の脳血管障害の代表格が脳梗塞です。

血管が詰まる原因として粥状硬化やアテローム内出血や動脈硬化の部位の血栓形成等があります。

それにより血管内腔の狭窄や閉塞が進み、完全に詰まると脳梗塞へ進展します。

脳の血管が割と良好な状態でもこの脳梗塞が起こる事があります。

つまり心臓から脳内に行くまでの動脈にアテローム(粥状硬化)等があると、そこに病変が生まれ、血栓等が飛んで行き脳梗塞になります。

また、最近高齢者に増えているのが心原性脳塞栓症です。

心臓で血球が作られ、それが脳に飛んで行き脳塞栓を発症させます。

この原因になるのが心房細動です。心臓の正常なリズムが崩れ不規則で細かい動きが現れます。

この心房の震えにより血液が凝固して血球になるのです。

心房細動は様々な心疾患の随伴症状として出て来ますが、甲状腺機能亢進症、慢性肺疾患等にも出現します。

一般に加齢に伴って心房細動を合併する率は上昇します。また、30%は基礎疾患の無い孤立性心房細動です。

発作性と慢性に分類されますが、高齢者では慢性化しやすい事が明らかです。

ですから、心疾患での血栓予防に経口抗凝血薬としてワーファリンが有効とされ、広く使われています。

しかし、抗生物質等の薬の飲み合わせで、全身性の出血性合併症という非常に危険な副作用もあるので両刃の剣といえます。

リンパ浮腫の軽減

2021.06.16 | Category: 循環器

乳がんや子宮がん、前立腺がん等の手術で胱高やソケイ部のリンパ節を除去した為に、腕や脚のリンパ管の通り道が阻害されてむくむ、「リンパ浮腫」の後遺症で悩んでいる人が2万人以上と言われています。

リンパ液はバイパスを使って少しでも心臓に戻ろうとしますが、徐々に組織間隙の蛋白質濃度が高まり膠質浸透圧のバランスが崩れ、血管内の水分が引き付けられ、末端から浮腫が始まります。

進行すると蛋白質が変性、沈着して皮膚や組織は次第に硬くなり、体毛も硬くなってきます。この浮腫はマッサージ(リンパドレナージ)によって軽減効果が得られます。

一般の求心性マッサージとは異なり、中枢から行うのが原則です。患部にリンパ液が滞留しているので中枢側の滞るリンパ液を排液してリンパ液の通路を確保してから、末梢から中枢に向かってマッサージをします。

順番としては体内のリンパ液はリンパ輸送管を介して、頚静脈に入り心臓に注ぐので、頚部のマッサージからはじまり、次に胸腹部、腋窩またはソケイ部、次いで患部の腕は上腕→前腕→手指、脚は臀部→大腿→下腿→足指と中枢側からマッサージするのです。

また、蛋白質や脂肪が繊維化している場合は、揉みほぐす様なテクニックが必要になります。

浮腫が軽くなった状態を保つ為に弾性ストッキングや腕に装着する弾性スリーブなど外部からの圧を加える事も有効です。

合併症として浮腫から菌が入り込み、激しい炎症を起こす蜂窩織炎に注意が必要です。

貧血と低血圧

2021.06.16 | Category: 循環器

若い女性はめまいや立ちくらみの症状を訴える事がありますが、その時に「貧血だから」とか、「低血圧だから」など、その区別がハッキリしない事があります。

貧血は血液成分の問題で、低血圧は血液を送り出す力が弱い為に起こるもので、その対処は違ってきます。

貧血の多くは鉄欠乏性貧血で、赤血球は鉄を含んだ蛋白質のヘモグロビンが、全身の組織や臓器に酸素を運ぶ役目をしますが、鉄分が不足すると、ヘモグロビンが十分に作られ無い為に貧血になるのです。

特に女性は生理の出血でヘモグロビンが少なくなりやすく、そこへ間違ったダイエットや偏食をすると更に鉄不足が悪化するのです。

鉄分は1日に12mgが必要ですが、鉄分が多いのはレバーや赤身の肉類です。

ひじきや小麦フスマ、小麦胚芽にも鉄分が豊富ですが、植物性食品の鉄は非ヘム鉄で吸収率は劣ります。

またビタミンCを一緒に摂ると吸収しやすくなります。慢性貧血が続く様な場合は鉄剤を処方してもらった方が良いでしょう。

低血圧は最高血圧が100mHg以下の状態で、全身の血液循環が悪くなる為に起きます。

何らかの病気が原因となる2次的低血圧もありますが、90%は原因が無い本態性低血圧で、遺伝や体質の問題が考えられます。

バランスの取れた食事、早寝早起き、適度な運動と言った、生活習慣を改善する事が重要になります。

低血圧の人は食も細いので貧血も同時に起している場合もあります。

貧血と低血圧は血液検査や血圧測定で直ぐに分かるので、症状がある場合は原因を早めに知る事です。

動脈硬化が怖いのは?

2021.06.12 | Category: 循環器

アテローム性(粥状)の動脈硬化は、コレステロールがヘドロの様に血管壁にこびりついて血管を詰まらせるのではありません。

これまで分かっているのは、LDLコレステロールが血管の内膜に潜り込んで酸化し、泡沫細胞となってプラーク(塊)を作るという事です。

それが破れると凝血塊を作り心筋梗塞や脳梗塞等を引き起こします。動脈硬化が怖いのはこうした突然の発作が命取りになったり後遺症を残してしまうからです。

しかし、プラークは大きくなってもそれ自体が血管を塞いでしまって血流を止めてしまうのは15%位なもので、実際はプラークが破れた為凝血塊ができて梗塞を起こす事がほとんどなのです。

血管の弾力が無くなったり、(血管を塞がない様な)プラークができている、つまり動脈硬化というだけでは大きなトラブルは起こら無いと考えられるのです。

ではプラークを破裂させるのは何かという問題です。

分かって来たのは、プラークを破裂させるのは“炎症”なのです。

プラークを作っている泡沫細胞は炎症物質を作りますが、それが結合組織を損傷してプラークを覆っているキャップに亀裂を作ったり破ってしまいます。

しかも泡沫細胞は凝血因子も作るので破れた部分に凝血塊を作るという分けです。

炎症は何もその血管のプラーク部分で起こるだけで無く、体の他の場所で起こっていても血液中に溢れた炎症に加わる成分が飛び火する事もあるので、プラークの破裂に一役買う事があるのです。

つまり感染症も動脈硬化を危険に晒すという事がいえます。

糖尿病は血液の糖がLDLの炎症性を高めると考えられ、タバコも活性酸素を作り出してLDLを酸化させる事で血管に炎症を起こさせる可能性が大きいのです。

HDLは余分なコレステロールを肝臓に運ぶだけで無く、抗酸化物質を運んで酸化脂質を減らしている可能性もあり、やっぱり善玉コレステロールだといえます。

血圧の測り方

2021.05.23 | Category: 循環器,高血圧

血圧は変動して当たり前、ちょっとした事で20㎜Hgや30㎜Hgは変化します。

診察室で測ると高めに出る白衣性高血圧の事は大分知られてきましたが、軽症高血圧の2割位はそうだろうと見られています。

一度位の血圧測定で高い数値が出たからといってすぐに薬を飲み始める事は危険です。

WHOでも本来15分以上の安静座位の状態で血圧測定するのが望ましいとしていますが、実際の受診では無理でしょう。

そこで患者さん白身ができる工夫として、測定前に10回以上の深呼吸をする事です。

また腕で測定するときも衣服の上からで無い方が望ましいのですが、脱げない場合は薄い物の上からにしてマンシェットの中で衣類がゴロゴロしない様に気をつけます。

家庭でも一定の時間に正しく測り、季節の変化や午前、午後の違い、精神状態によってどう違うか等、自分の血圧の傾向を知っておく事も大切です。

家庭用の電子血圧計も様々な物が出ていますが、マンシェットを巻いて上腕で測る物が安定した値が出て最も正確です。

リスト型や指先型では測る部位が心臓から離れているので値の変動が大きいのです。

上腕で測る時は机に腕を置いたりして心臓の位置と近い状態で測ります

血管を強くする食事

2021.05.22 | Category: 循環器,食事

健康に良いといわれる日本食のイメージは粗食と受け取られがちですが、血管を強くするには粗食ではいけません。

血管は蛋白質でできているといってもよく、蛋白質の不足は血管をボロボロにします。

飽食はいけませんが、蛋白質は十分に確保すべきです。

またコレステロールは動脈硬化の原因というので目の敵にする人も多いのですが、コレステロール自体はホルモンや胆汁酸の原料や細胞膜の構成として欠かせない成分です。

血中のコレステロールが減り過ぎると血管がもろくなり、脳出血を起こしやすくなります。

必要なのはアテロームを作らせたりそれを不安定なプラークにしないために悪玉のLDLを減らすことです。

そのためにはビタミンC等の抗酸化物質をしっかり摂る必要があります。

抗酸化物質は炎症物質を産生するプラークの破裂を抑えます。

一方、血管そのものを強化する成分としてはフラボノイドがあります。

フラボノイドといっても多くの植物の中から4000以上の種類がみつかっていますが、その中でも血管強化に力を発揮するといわれているのがルチンです。

ルチンはソバの実や葉、茎に多く含まれていて、内膜を厚くし、弾力性を強化するだけでなく、血液その物もさらさらにしてくれます。

ソバの中でもモンゴルや中国産の韃靼ソバは日本ソバの100倍ものルチンを含んでいます。最近ではスーパーでも手に入ります。

脳動脈瘤の血管内医療

2021.05.21 | Category: 循環器

脳クモ膜下出血の80%以上は、脳の動脹血管にできた動脈瘤の破裂によるものです。

動脈瘤は、脳底へ向かう動脈が枝分かれする分岐点の股の間にできやすく、破裂する前の自覚症状はほとんどありません。

脳動脈瘤破裂によるクモ膜下出血の死亡率は高く、病院に運び込まれる前に20%が、入院できても30%が出血と合併症のために死亡します。

つまり2人に1人は亡くなります。運よく出血が治まっても適切な処置をしないと3入に1人が再出血で死亡するのです。

対応はほとんどが関頭手術で、破裂した動脈瘤の根元をクリップで挟んで止める方法がとられてきましたが、動脈瘤の場所によっては開頭手術が難しい場合もあります。

新な手術は血管内手術で、先端に細いコイルのついたカテーテルを大腿部付け根の血管から入れて脳底まで進め、コイルを脳の動脈瘤の内部に丸めてつめるのです。

この方法で塞いだ動脈瘤にはもう血液は入らず、圧力がかからないので破裂する心配がなくなります。

欧米の医療チームが発表した論文によると、比較的軽いクモ膜下出血の患者2000入を2つに分け、関頭手術と血管内手術それぞれの方法を実施。1年後の状態を調べると、死亡していたり重い障害が残っている割合は開頭手術が30.6%、血管内手術は23.7%でした。日本でもデータでは、良好な成績が報告されています。

血管内手術は脳に直接触れないため、身体への負担が軽くて回復が早く、重い後遺症が残る割合も少ないのです。

脳動脈瘤の血管内手術の適応例は3割位あるのです。

1.親動脈の直径が2.5~4mm以下 2.動脈瘤のネックが4mm以上またはドーム/ネック比が2未満 3.動脈瘤の最大径が7mm以上 4.抗血小板剤及び抗凝固薬が禁忌でない方  5.未破裂脳動脈瘤である。 脳神経血管内学会があり、認定医制度を設け試験に合格した医師を認定医とした事をしています。

血管内手術ができる医師はまだまだ少なく、今後いっそう期待される手術法です。

運動で循環器疾患を予防

2021.05.20 | Category: 循環器

循環器疾患というと心臓が第一ですが、その予防に運動は大変有効です。

心臓は収縮期に動脈血を全身に送り、拡張期に静脈血が入り込みますが、運動によって筋肉は緊張時に静脈血を心臓に送り返し、弛緩時に動脈血を引っ張ります。

全身の筋肉が伸縮を繰り返す事は心臓の働きである血液循環を補佐するので筋肉は第2の心臓とも言え、運動で筋肉を鍛える事は大切なのです。

また運動する事で心拍数が増えると共に最大血圧も増加し、最小血圧はやや減少する箏で、脈圧は増加して、血管の弾力性を維持し動脈硬化を防ぎます。

更に新しい毛細血管を作る生み出す力にもなり、全身の血液循環が良くなるのです。

従来循環器疾患において運動は発作を起こす引き金になる事を恐れ、積極的には行われませんでした。

しかし最近では狭心症や心筋梗塞等の再発予防の為に医師が運動のこの能力を促す為に運動処方がされる様になってきたのです。

高血圧、高脂血症、糖尿病等の生活習慣病の予防、脳への血流が増加する事でボケ防止等、運動による効果は数多くあります。

運動は有酸素運動であるウォーキングや水泳等が最も有効で無理なく身体を動かし、30~60分を週に3日行うのが理想です。

運動強度は脈拍を見ながら決め、30代では120~125、40代では115~120、50代では105~115、60代では100~110が目安になります。

汗をかくと血液の粘調度が増すので、必ず水分補給をする事が大切です。

また、循環器疾患の薬を服用している場合は運動を行う前に必ず医師と相談する事です。

いずれにしても運動は身体の血液循環を良くする為には欠かす事ができない予防法です。

網膜症と毛細血管

2021.05.17 | Category: 循環器,

糖尿病で高血糖状態が長く続くと毛細血管が障害されて、三大合併症といわれる網膜症、腎症、神経障害が起こります。

これらの合併症の中の網膜症で毎年3000人が失明しています。網膜にある毛細血管は内側の内皮細胞とそれに対になって外側に周皮細胞があります。

それぞれ細網線維の基底膜によって取り巻かれています。この周皮細胞が収縮と拡張を繰り返す事で毛細血管の中を流れる血流量は調節されています。

そして、この血管内を流れる血液成分は内皮細胞間の間隙を通って網膜には運ばれます。

しかし、むやみに透過しては神経細胞にとっては有害な物も出てしまいますので、内皮細胞間にはよく発達した接着装置があって血液成分の透過を厳しく制限しているのです。

脳に脳関門があるように、これを血液一網膜関門と呼んでいます。ところが、高血糖が続くとこの血液一網膜関門に機能異常が起こってくるのです。

そして、血管透過性の亢進、周皮細胞の脱落、基底膜の肥厚、毛細血管瘤の形成等が起こってしまうのです。

初期症状としては、毛細血管がもろくなる為に瘤や出血が出現します。しかし網膜の中心部が侵されない限り視力は低下せず、きちんと血糖をコントロールすれば、改善も期待できます。

少し進行すると「増殖前網膜症」といい、前記の症状以外に血管がつまって網膜に無血管領域が出現するために綿花状の白斑や網膜のむくみが現れます。

この時期でもある程度進行を食い止める事ができるレーザー光線照射(網膜光凝固法)があります。

しかし、これを過ぎると「増殖網膜症」といい、脆弱な新生血管がどんどん網膜に出現します。

この時期でもまだ視力が良い事も多いのですが、突然新生血管が破れて硝子体出血や眼底出血を起こし、見えなくなったり、網膜剥離を起こしたりします。

この段階になると改善が難しくなり、失明の可能性が高くなるのです。

血管性間欠性跛行

2021.05.16 | Category: 動脈硬化,循環器

歩いていると足が動かなくなり一度に長く歩くことができず、暫く休むとまた歩ける、という状態を間欠性跛行といいます。

高齢者に多く、脊柱の変形や圧迫で神経が障害されるために起こる事もありますが、四肢に行く動脈が詰まってしまう閉塞性動脈硬化によるものが増えています。

間欠性跛行では大動脈下部から大腿動脈等が詰まって血行障害が起こるので歩けなくなるのですが、動脈硬化は全身病ですから、当然他の血管も詰まりやすくなっていて、2~3割は心疾患や脳梗塞に進むとみられています。

血管性間欠性跛行の最初は歩行の困難さはなくても、足の皮膚色が悪く、冷えや痺れを感じる事があり、それが悪化すると間欠性跛行が起こってきます。

更に悪化するとじっとしていても下肢が痛むようになり、最悪の場合は全く血流がなくなり壊死から足の切断へといたります。

500m位歩ければ改善は可能で、運動をする事で血管をまたいで側副血行路が発達し、血沈が改善しますから、努めて歩くようにする事が大切です。

この間欠性跛行は、閉塞性動脈硬化症からそれによって引き起こされる心疾患や脳血管障害のきっかけにもなるので、高血圧や特に糖尿病の人は要注意です。

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