- Blog記事一覧 -5月, 2021 | 伊勢原市笠窪 鶴巻温泉治療院 - Part 3の記事一覧

5月, 2021 | 伊勢原市笠窪 鶴巻温泉治療院 - Part 3の記事一覧

毛細血管

2021.05.04 | Category: 循環器

動脈は段々細くなり最後には毛細血管になって栄養や酸素などの物質交換を行います。つまり毛細血管は新陳代謝を担う最前線といえます。

太さは5~10ミクロンほどで、赤血球がやっと通れるほどの細さです。

1秒間に50cmの速さで流れていた血液もこの毛細血管では毎秒1回とゆっくりした速さになります。

血管自体は内皮細胞の薄いシートでできていて、やりとりする周りの組織液の種類や量によって、細胞がびっしり詰まっているもの、穴の空いた物、更には隙間の多い物と様々です。

この毛細血管がきちんと働かないと、様々な障害が起こります。

毛細血管の壁の透過性が高くなったり血液の中の蛋白質が少なくなるとむくみが起こります。

毛細血管での血行障害の典型が冷え症や肩こり等で、これらの症状は女性に多いものです。

女性は子宮や卵巣等の複雑な臓器を抱えている為ホルモンバランスや自律神経のバランスを壊しやすい事、筋肉が少ない為筋肉によるポンプ作用が少なく熱を保ち難い脂肪が多い事等によって毛細血管の血行障害が起こりやすい体といえます。

赤血球が変形し難くても毛細血管を流れ難くなりますし、ドロドロ血液でも同様に血行障害が起こります。

肺循環

2021.05.02 | Category: 循環器

肺循環は心臓の右心室から肺動脈に出て肺を経て肺静脈へ、そして左心房に帰ってきます。

これは常識ですが、その肺循環の所要時間がなんと4~5秒というかなりのスピードである事はあまり知られていません。

肺動脈は枝分かれして最終的には肺の膨大な毛細血管に到達します。この毛細血管を取り囲むように3~5億の肺胞が小さな泡のように並んでいます。

そして肺胞上皮と血管内皮細胞の厚さ0.5ミクロン以下の薄い接触面を通してガス交換がおこなわれます。

また、肺循環は体循環とは決定的に違う性質があります。それは肺の動脈は血圧が体循環と比べて著しく低いのです。肺動脈では25mm水銀柱なのです。

心臓から心臓までの距離が短い為に低い圧力でも血液を流す事ができますし、あまり血圧が高過ぎると毛細血管がトラブルを起こすからです。

その分、重力の影響を受けてしまいます。肺の上と下の毛細血管にかかる圧力は約2倍の差が出来てしまいます。

つまり体を起している時は、肺の血液は肺の下部を流れやすくなり、肺上部には流れにくくなるのです。

この不均衡があまり大きくなると血液が充分にガス交換されないで肺を通過してしまうため呼吸機能が低下します。

しかし毛細血管の圧力が高過ぎると、毛細血管から出血したり、周囲に大量の溶出液が染み出したりします。

また、肺循環では全身の生理機能調節にとっても重要な働きをしています。

特に神経伝達物質であるセロトニン、アドレナリン、アセチルコリン等が肺循環で不活性化されているのです。

この様な点からも、養生の基本に呼吸法があるのもうなずけます。

血管内皮細胞の働き

2021.05.01 | Category: 循環器

動脈は高い内圧に耐える事が出きるように3層構造になっています。

繊雄性組織からなる外膜があり、その内側に主として平滑筋で出来ている中膜があります。

そして、一番内側に内膜があり、その内膜には一層の血管内皮細胞があります。この内皮細胞は動脈だけでなく静脈や毛細血管やリンパ管系等、循環器系全般に広くある細胞です。

ところで、通常血管の収縮や拡張は自律神経系や血液中の液性因子が調節していると言われてきました。

つまり、末梢の細動脈では交感神経α受容体の刺激やアンギオテンシン等の血管収縮因子により収縮し、β受容体の刺激やキニン等の血管拡張因子によって弛緩するとその細動脈の収縮と弛緩により、末梢循環の抵抗性の強弱が生まれ、血圧や血流の体内分布等が調整されているというわけです。

この説明は間違っているわけではないのですが、他の原因として血管内皮細胞が注目されてきています。

この血管内皮細胞は従来血管壁に血栓が付着したり、血液が固まるのを防ぐ、いわばコーティングのような働きがあると考えられていました。

しかし近年の研究で、この内皮細胞が抗血栓性と血栓形成性の、拮抗する性質の生理活性物質を作る事が明らかになったのです。

例えば内皮細胞から放出されるー酸化窒素等の血管拡張物質は細胞の増殖を抑え、血栓を予防して動脈硬化を妨げます。

これに対して、エンドセリン等は逆の作用の血管収縮物質で、過剰に作られれば血管を傷付け、血栓を作り動脈硬化を進めてしまうのです。

つまり、この2つの拮抗する作用により、血管自体が循環のバランスをとっていたのです。

このバランスが崩れてしまうと、自ら血栓を作り動脈硬化を誘発する事も分かってきました。

この血管内皮細胞は循環のバランスだけでなく、免疫や代謝等も制御しているという研究もあり、現在注目される先端研究のーつになっているのです。

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