- Blog記事一覧 -養生法の記事一覧
養生法の記事一覧
睡眠は、脳や身体の疲労回復をする為に必要な生理現象で、心身の養生として基本的な事です。
生体には、午後1~2時頃の小さな眠気と夜間の大きな眠気が12回あり、それが自然な睡眠リズムです。
夜間の睡眠では深い眠りが起きる最初の3時間に成長ホルモンが分泌されます。
このホルモンは思春期の身体作りに必要ですが、その後も脳や身体の組織の修復、強化、増殖には欠かせません。
しかし加齢が進むと眠りが浅くなり、このホルモンの分泌が減少してくるので、夜の睡眠をしっかり取る事が養生に繋がってくるのです。
夜の深い睡眠をとるひとつとして15~30分の昼寝です。
老人大学という高齢者の集まりで、心理テストから意欲的なグループと消極的なグループを選び、睡眠の状態を調べたところ、意欲的なグループの方が昼寝を取る率が高かったのです。
更に昼寝には決まった時間に取る積極的昼寝と襲って来る眠気に負けて昼寝を取る消極的昼寝があり、老人を二つのグループに分けて、夜間の睡眠の状態を調べたところ、積極的昼寝をとった方が、不眠の訴えが少ない事が分かりました。
睡眠リズムをきっちり守る事で、夜の睡眠がスムーズに行くからと考えられています。
また睡眠には体温リズムも関係し、昼間活動的に運動すると体温は上昇し、夜になると低下しますが、その変動が大きい程熟睡できます。
運動する時間帯は最も活動が高まる午後が良いとされています。
最近では2000~3000ルクスの人工光線が人の生体リズムを強く同調させる事が分かり、昼間の太陽光線を浴びる事が夜間の深い睡眠を取る為には必要不可欠なのです。
この事からも日中は活動的に運動をし、趣味を持つ等意欲的な生活で生体リズムを強化する事で、質の良い睡眠をしっかり取ることが養生に繋がるのです。
運動して筋肉を鍛える事は全身の養生になります。
筋肉は第2の心臓といわれるように心臓循癩器系に影響しています。
特に筋肉の70%が脚にあるのでウォーキング等で下半身を鍛える事は重要です。脚の血液は静脈の静脈弁が逆流を防ぎながら、筋肉ポンプ作用で心臓に戻ります。
老いは足腰からといわれますが、その筋肉が衰え減少してくると筋肉ポンプ作用も低下して、心臓に負担をかけて血圧の上昇に繋がるので、下肢の筋肉を鍛える事が養生になるのです。
また、歩いたり、立ったり、座ったり、交互に手と足を動かす、身体のバランスを取る等、脚、腰、背中等の筋肉や腱から、身体の姿勢を正そうとし脳に情報が行き、その刺激が脳の活性にも役立つのです。
運動不足でその情報が少なくなってくると脳の機能低下の原因になったり、起立時にバランスを崩して転倒し、骨折を起こす危険が増加するのです。
女性では閉経後に骨組夥症対策として、食べ物からカルシウムを摂りますが、その吸収を良くする為には適度な運動が重要です。
運動をして荷重をかけると骨芽細胞の活性化と骨の圧電位の発生により骨形成が促されるのです。
閉経後の女性が1日平均25分以上のウォーキングをする事で骨量の低下を防止するだけで無く増加させたという研究報告があります。
ウォーキングは下半身の筋肉増強、骨の強化と共に血液循環を改善し、脳の活性化に役立つ養生法です。
草花や野菜を植えたり年間を通じて植物の世話をしていく事は、入の心にゆとりと安らぎ、楽しみとやりがいを与えてくれます。
ガーデニングのこういった養生効果は欧米では古くから知られていて、医療や福祉の現場で改善やリハビリテーションを目的として植物や園芸作業を用いるのが園芸療法(ホーティカルチャー・セラピー)です。
老人ホームや身体障害者や知的障害者の施設、精神病院などで実際に活用され、大いに効果を上げています。
もともとアメリカでは傷痍軍人の社会復帰を目指す為の方法として行われ、その指導にあたる人の資格として園芸療法士の制度が設けられました。
ヨーロッパでは園芸療法士の資格制度はありませんが、それに準ずる人たちが指導を行い、日本ではリハビリテーションの一環として作業療法の中に園芸作業があります。
さて最近の日本でブームになっているガーデニングですが、世の中が不況になり騒然としてくればくる程、人は身近に安らげるものを求める傾向にあります。
遠出をしなくても戸外で自然に触れ、美しい草花に接する事ができれば、人は不安やストレスが随分と癒やされます。
植物の香りを嗅ぐといい気分になったり気持ちが落ち着いたり、実際に血圧が下がる等身体面でも効果が現れるので、身近な養生法として期待できます。
日本でも馴染みになった「薬膳」ですが、初めて薬膳という言葉が使われたのは中国でも1970年頃。1980年に漢方薬店が漢方に沿ったスタミナ健康食のレストランが最初の薬膳レストランだといいますから、案外新しい言葉です。
とはいえ、中国では既に3000年前から食物によって病気を予防したり改善させる医師が一番の名医だという考え方がある様に、食養の考え方は現代に至って薬膳として結実しているわけです。
薬膳では日常の食品や薬草のひとつひとつには五味(酸・苦・甘・辛・鍼)と四気(熱・温・(平)・涼・寒)があるとして、これらのバランスを重視します。
それも単なるバランスを取るというよりも陰陽五行の木火土金水に対応して、相生相剋の関係として考えていきます。
この五味四気は西洋医学的に証明されているわけではありませんが、経験則として積み重ねられてきたものです。
寒の食べ物は熱の食べ物と合わせる事でその害を無くしたり、暑い季節は「冷」の、寒い季節は「熱」の食べ物を、更には人の陰陽、虚実にも対応させて処方していきます。
また薬膳は単に漢方薬を料理に加えて料理したものではありません。
組み合わせが正しくなければ時としてマイナスに作用する場合があり、それは薬膳でも同様です。
薬膳では病気療養の為の「食療」と病気にならない様にする「食養」とがあります。
中国では改善を目的として処方される事が多い様ですが、日本では食養という面で受け入れられているといえます。
中国の気功法は調心、調息、調身によって心身のバランスを安定したものにするという考えが基本にあります。
ところで、天台宗の開祖である中国の智者大師はこの三つに飲食と睡眠を加えて、五つの調和と調節を坐禅の修業に採り入れました。
その修行の為の手引きになるのが「天台小止観」で、心と身体の調節法として、具体的な養生法ともいえるのです。
この天台小止観を下敷きにしてこの坐禅のやり方や心構えを説いた日本の書物で有名なのが道元禅師の「普勧坐禅儀」や恵心僧都「止観坐禅記」等です。
これらは坐禅を主眼にして説いていますが、これに対して調息を主眼にしているのが江戸時代の白隠禅師の「夜船閑話(やせんかんな)」です。
この中で呼吸法の重要性と身体の上虚下実の実現の為の臍下丹田を充実させる事の大切さを説いています。
また、軟酥の法は現在の自律訓練法等共通するイメージトレーニング法です。
軟酥という微妙な色合いと清々しい香りの妙薬が自分の頭の上にあると念じて、その軟酥に頭の先から次第につま先までゆっくり溶けて行く事を想像する様にします。
この時に身体の中の五臓六腑の滞りや痛みやしこりがすべて流れ落ちる事をイメージします。
その流れ出て行く音が聞こえ、それが全身を降りて行き、次第に両脚が温かくなる様に想像します。
このイメージを何度も繰り返すと心身とも軽やかになり、気血の滞りも消えて、内臓は調和して、皮膚も光沢を増して行くと説いています。
温泉国である日本ですが、一般の人が湯治など、病気療養に温泉を利用する様になったのは江戸時代辺りからです。
それが明治時代になって西洋医学的に温泉の効用が理解される様になり、研究も進みました。
しかし戦後、薬物療法や外科療法の発達で療法としての温泉利用は下火になりましたが、生活習慣病や人口の高齢化等によって補助療法としての温泉が再認識される様になっています。
日本よりも温泉医療として進んでいるドイツやフランスの研究が影響しています。
一口に温泉といっても、その定義は・(温泉源から採取する時の)温度が25℃以上・溶けている物質(ガス性でない物)の総量が1000㎎/kg以上のどちらかを満たす物となっています。
そこで、成分限や質、組成の面で薬理学的にいっても療養効果があると見られる温泉は療養泉として区別され、環境庁自然保護局監修・鉱泉分析法指針として基準が決められています。
泉質名が付いている温泉は療養泉の基準を満たしているという事で、効能を謳っていても泉質名が付いていない温泉は療養泉では無いという事になります。
分類の仕方は昭和53年に改定されて以来、新旧の表示が混在していますが、一般的には単純泉、塩化物泉、炭酸水素塩泉、硫酸塩泉、二酸化炭素泉、鉄泉、硫黄泉、酸性泉、放射能泉の9種類に分けられている事が多い様です。
それぞれの泉質によって効能に違いはありますが、神経痛・筋肉、関節痛・関節のこわばり・五十肩・運動障害・打ち身・くじき・慢性消化器病・痔疾・冷え性・病後回復期・疲労回復・健康増進等に効用があります。
禁忌症状としては急性疾患(特に発熱時)・活動性の結核・悪性腫瘍・重い心臓病や腎臓病・呼吸不全・高度の貧血・妊娠中(特に初期と末期)・感染症・衰弱・栄養不良等があります。
タラソテラピーとは「タラサ:海」ギリシャ語と「テラピー:療法」フランス語からの造語で、古代バビロニアに始まりギリシャ・ローマ時代後に一旦衰退、再び17世紀に盛んになりました。
1961年にフランス厚生省が「海水や海藻や海洋性気候のテラピー効果を、改善目的に使用する自然療法」と定義し、欧州ではリハビリテーション技術を取り入れた方法及び養生法として広く知られています。
フランスを主にヨーロッパには80ケ所に昇るタラソテラピーセンターがあり、リウマチや脳疾患等の後遺症のリハビリテーションを行う病院やリハビリセンター、保養や体力向上やストレス解消‥の養生を目的として家族で利用できる健康増進センター、美顔や美容などエステティックを目的とする美容センターの3種があります。
各センターには専門医が常駐し、23種類の基本療法から各人に合った個別プログラムが組まれます。
主な療法にはプールを利用した入浴療法や運動療法、海藻や海泥に浸かったりパックする海藻・海泥療法、海産物による食事療法や日光浴・砂浴もあり、加えて理学療法・作業療法、心理・色彩・音楽・芳香等の療法が組み合わされて行われます。
環境の良い海岸に在るこれらのセンターはホテルとの併設も多く、利用者が心身共にリラックスできる様に配慮され、健康増進センターには多くの利用者が養生を目的に訪れます。
日本で行われている海洋療法は湯治の一部として行われ、汐湯湯治・汐蒸し風呂・カジメ(海藻)湯などがあり、指宿温泉の砂風呂は有名です。しかし一般にはタラソテラピーというとエステの海藻や泥パックなど美容目的との印象が強く、療法や養生に活用されていないのが現状です。
ヨーガとはサンスクリット語で「結びつける」とか、「馬を馬車に繋ぎ止める」の意味で、間の五感を統一し、解脱の境地に高める「行」を指します。
5000年前の北インドに起源を持つヨーガはその後いくつもの流派が生まれ、信仰を中心にしたもの、倫理・道徳、あるいは呪文を中心にしたものと様々です。
現在日本で普及しているヨーガはラージャ・ヨガが(王様のヨーガといわれる瞑想を中心に精神的な面を追及する古典ヨーガ)と、ハタ・ヨーガ(からだを健康にする事によって至福の瞑想状態に導くというヨーガ)を一緒にした近代ヨーガともいうべきヨーガが普及しています。
しかも指導者によって重点とする部分や方法も違ってくるので日本でも実に多くのヨーガがあります。
一般的にヨーガは、「調身」、「調息」、「調心」の3つの方法が中心となります。
「満身」はアーサナ(体位法)を用いて身体を整える方法で、いわゆるヨーガ的ポーズです。
アーサナでは、伸展(ストレッチ)、緊張(筋に力をこめる)、圧迫(ねじりなど)、逆転(逆立ちなど)を用いて体を整えていきます。
特にストレッチは身体の緊張を解いて瞑想に適したからだの状態を作るもので、スポーツの世界で体系化されているストレッチはヨーガのストレッチから多くのものを取り入れています。
調息とは呼吸法のことで、ヨーガの呼吸法は腹式呼吸を中心として100種類以上あるといわれます。
正しく行う呼吸法によって自律神経を調整し、心身ともに強化します。調心は瞑想によって精神を集中させ拘りのない自由自在の境地へと導きます。
日本の食養生の中でも大きな影響を与えているのが桜沢如-(1892~1966)のマクロピオティックでしょう。
桜沢は、石塚左玄(明治時代の軍医であり食養家)を源にして中国の陰陽を組み込んだ独自の生命観「無双尿剛をうちたて、玄米正食(穀物菜食)を中心にした食養法をつくりました。
食養法というよりも生活全体の規範といったほうがいいかもしれません。その食事の考え方の基本は次の5つです。
「身土不二」
自分が生きる環境の範囲内の食物を食べる。つまりその土地でとれる旬の食物を食べること。
「一物全体」
食物は全体を食べる。玄米、玄麦、精製しない砂糖、塩など。野菜も皮など全体を食べる。
「穀物菜食」
肉食しない。
「陰陽の調和」
食事に限らず、様々な物事、生活を調和させる
「正しい食べ方」
よく噛むこと。少なくとも30回。以上が基本となります。
桜沢はこの考え方を海外にも積極的に広げ、ジョージ・オーサワの名で広く知られています。
マクロピオティックは桜沢以後、医師や栄養士、東洋医学者、民間の健康法の指導者など、様々な人に受け継がれています。
そして解釈の違いやその個人独自の方法等も加味されて○○式食事法等と呼ばれる多岐に渡る食事法として広がりをみせています。
西洋のカロリー中心の栄養学の反省から日本の伝統食を再認識、普遍化しようという流れといえます。
しかし一部には現代医学に対する不信のあまり個人の条件や環境を無視した極端な偏食を導き、かえって自然食による弊害が発生している事も無視できません。
本来のマクロビオティックでは基本に沿いながらも科学的、栄養学的な考え方も退けない、融通無碍の食養生として発展していく事を目指すものといえるでしょう。
人間の五感、視覚・聴覚・嗅覚・味覚・触覚は外界の情報を得るのに極めて重要な役割を担っています。
健康で生き生きとした大脳の働きを維持するには、これら五感からバランスの良い刺激を受ける事が大切です。
しかし現実の生活は、本やテレビ・ビデオ・パソコン等視覚からの情報が多くを占め、嗅覚・味覚・触覚の情報は少なくなっているのが現状です。
しかし人間は本来、五感のバランスを保ちたいという無意識の欲求を持っている様で、例えばグルメブームや激辛ブームの様に味覚に関する関心が高まったり、ガーデニングで生命を育てる手触りを実感したり、自然の色彩や香りを楽しみたいというのはその現れかもしれません。
アロマテラピーがもてはやされるのも、失われた香りをオフィスや生活の場に取り入れ、日常のストレスから癒やされたいという大脳の欲求が働いている様です。
眼を酷使するような生活による疲れやストレスは、他の五感を刺激することで相反的に癒す事ができるのですが、とりわけ森林浴等は養生効果が大です。
豊富な縁は視神経の興奮を静め、鳥のさえずりや葉ずれの音に聴覚を働かせる事によって視覚の疲れをとり、更に森林内に満ちるテルペンの香りを嗅ぐ事によって身体の内分泌機能を高めて副交感神経の働きを優位にします。
深呼吸をする事で自律神経のバランスを整える、清流の水を味わうなど、五感の全てをバランスよく刺激する事で大きな養生効果が生まれます。