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養生法 - Part 2の記事一覧

太極拳

2021.06.13 | Category: 養生法

エアロビックダンスでは数秒しか耐えられないお年寄りでも、無理なくできる養生法として太極拳があります。

健康体操として広がっていますが、元は中国武術のひとつです。中国武術を大別すると外家拳(硬拳)と内家拳(柔拳)になります。

外家拳は骨格、筋肉などの身体を鍛錬して動きが直線的で激しい武術です。内家拳は内臓、感覚、精神などの内面を修練し、動きが緩やかで円運動を中心とする武術です。

太極拳はこの内家拳に属します。史料によると明末武将の陳王庭がはじまりといわれ、道教の吐納術(呼吸法)、太極陰陽説、経絡説が取り入れられています。

陳家から派生した太極拳は楊家、呉家、武家、孫家等の流派に分かれていきますが、基本的鍛錬では、リラックス、心の平静、腹式呼吸、意識の動作への集中、動作の柔軟性、緩慢性等がどの流派でも求められます。

この鍛練法が身体に良いという事で注目され、1956年に毛沢東主席の「体育活動を発展させ、人民を向上させよう」という事で、楊式太極拳をベースに各流派の長所を取り入れ編成し、中国国家体育委員会により「簡化24式太極拳」が作られたのです。

太極拳は動きの中で静を求め、気を丹田に沈めるという大切な考えがあり、意識を運動に集中させてリラックスして行う事が求められます。

そしてゆっくりと意識的に日頃使わない部位を動かすことにより、全身の血行を良くし、筋肉が柔軟になり、筋力が増加します。

また、腹式呼吸で深くゆっくりと呼吸する事により自律神経の調整、横隔膜の上下運動で内臓が強化されるのです。

姿勢を低くして行えばかなりきつい全身運動になるので、若者からお年寄りまで幅広い年代でできる養生法です。

西式健康法

2021.06.13 | Category: 養生法

戦前戦後を通じて最も大衆的な広がりと知名度をもった健康法といえば西勝造が提唱した西式健康法です。

子供の頃から病弱で、20才まで生きられないと言われ医師にも見放された事から、発起して16才から研究を始め、37才の時に西武健康法の六大法則を完成して、世間に広く受け入れられました。

この六大法則の三番目の法則に「金魚運動」がありますが、これは現在もこの運動機器が広く普及しています。

まず、第一に脊柱を正し内臓機能を高める「平床寝台」。つまり硬い床に寝る事を勤めています。
第二に頚椎を守る為の「硬枕利用」。
第三は胃腸を整える為の金魚運動。
第四は血液循環を高める為の「毛管運動」。
第五は身体の友右の手足の神経や筋肉の状態を整える「合掌合蹠法」。
そして最後に座して背筋を伸ばし「良くなる。能くなる。善くなる」

と念じながら左右に身体をゆすりながら腹を前に突き出す「背腹運動」があります。

また、健康法の四つの基本原則として、第一に皮膚を鍛える事が重要として裸療法と温冷浴を勧めています。
第二に食養として生水の常用、生野菜食、朝食の廃止を唱えています。
第三は四肢の内の足の健康を重視、そして最後はこれらを統括する精神の力を挙げています。

西勝造は医師では無く土木技術者でしたので、当時は医師の側からかなり批判を浴びましたが、政財界の多くの著名人が支持して、西の豊富な医学的知識に裏打ちされた著作により、それらの声を圧倒しました。

戦後も西式健康法は現代医学との対決姿勢を明らかにして、独自の養生法を提唱しつづけて、更にその理論を継承した後継者たちが西医学研究所と診療所を開き現在まで続いています。

養生の基本は呼吸

2021.06.13 | Category: 養生法

養生という言葉は道教の神仙術の養生法から生まれましたが、この神仙術では呼吸を養生の要として考えています。

「胎息」「服気」「行気」「錬気」などの呼吸の技法があり、全てを包摂して「調息」と呼んでいます。

そして、呼吸して身体に流れるものが「気」であり、それは「内気」と「外気」に分けています。

内気は元々母親の体内から臍帯を経て胎児に充満していく呼吸をいい、「胎息」といいます。

ですから、神仙術では「臍」を大切にしているのもこの「胎息」があるからです。

また「外気」とは、体外にある気の事になります。

調息の中の「服気」は「内気」を飲み込む事で、普通の呼吸で一緒に出て行きそうな内気を三つの丹田に満たす呼吸法です。

その丹田の内気を自分の望む体の部分に到達させる技が「行気」です。「錬気」は行気とは逆に体の内気を自由に流れに任せるやり方です。

そして道教では、外気を鼻から吸いこみ口から吐き出す普通の呼吸を、気が鼻から腎臓に下りて行き、五臓と六腑を巡るといいます。

ところが、修練していない普通の人々は関所の源(関元)を通り抜ける事ができないので、気はそこで止まってしまう、といいます。

そこで養生の修練で関所に気を通し、臍下三寸にある下丹田、もしくは「気の海」(気海)にそれを導くようにする事が、外気を巡らす術になるのです。

この修練をする時には、宇宙が空気を吸う時の時間である「生気」でやるべきで、宇宙が空気を吐く時の「死気」の時間には修行してはならないと書かれています。

この生気と死気の時間については2つの説に分かれるところです。

昼間を死気、夜を生気という説と真夜中から正午まで生気で死気は正午から真夜中までとする説です。

ですから、日の出の直前はどちらの説でも生気の時間内であり、日没も生気に入れるかどうかが意見の分かれるところです。

貝原益軒の「養生訓」

2021.06.13 | Category: 養生法

日本では江戸時代中期から後期にかけて養生に関する本が沢山出版されています。

病気の予防や改善、栄養、育児等に関する知識を一般に向けて優しく説いた物が多く、日本人は古くから養生本が好きな様です。

その多くの養生書の中でもその大元にあると考えられる本が貝原益軒の「養生訓」で、杉田玄白を始め、多くの医師や学者に影響を与えています。

現代では’01年の始めにNHKの人間講座で取り上げられて再評価されています。

いわば現代につながる東洋的養生の考でしょう。貝原益軒は儒者であり医者であり、薬学者でもありました。

本人自身は病弱な体質だったようですが、人生も80代になってから「養生訓」を始め旺盛な仕事を残しています。

つまり自らの身体で実証した経験則が養生訓でもあるのです。

益軒は幸福は人生の後半にあるのだから養生に勤めて老いを楽しまなければならないといいます。

この養生訓は8巻からなり、朝起きての身繕いの仕方から寝る姿勢まで実に細かく養生法を語っていますが、「べからず」ばっかりの禁欲的な堅苦しさだけの教えではありません。

あくまでも人生を楽しむ為の養生なのです。

益軒は人間の根本は「気」であり、その気の滞りが病気を呼び、元気を減らすと考えているのですが、この考え方はヒポグラテスにも通じるものがあります。

養生訓全体に渡って最も強調されているのが、「身を動かし、気を巡らす」という事です。

「心は楽しむべし、苦しむべからず。身は労すべし、やすめ過すべからず」とする教えは決して古くはない、現代にも通用する養生法だといえるでしょう。

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