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うつ病 - Part 4の記事一覧

身体の病気とうつ病・うつ状態

2020.12.18 | Category: うつ病

病気を苦にして自殺というニュースは珍しくありませんが、その多くはうつ状態による自殺だと考えられます。

病気になれば少なからずうつ状態に陥りやすいものですが、病気の中には、うつ状態そのものを引き起こしやすい病気があるのです。

例えばパーキンソン病や脳動脈硬化等の脳の変性による中枢神経疾患はうつ状態を伴う事が多いのです。それ以外にも内分泌の代謝異常による疾患等もうつ状態を起こしやすい病気です。

甲状腺ホルモンは特に気分に大きく作用しますから、甲状腺の機能低下は特にうつ状態を呈しやすく、女性に多い橋本病はその代表とも言えます。

うつ病と思われるものが甲状腺の機能低下によるものだと言う事もあります。また糖尿病もうつ状態を引き起こしやすいようです。

うつ病の人に糖の負荷試験を行ったところ、健康な人よりも血糖の上昇値が高いという試験結果があります。またうつ病患者の多くに耐糖能の異常があるとの報告もあります。

インシュリンの慟きはストレスホルモンであるカテコールアミン類やコルチソール等によって抑えられ、それが血糖値に影響を与える事になります。

耐糖能の異常がうつ状態の同値を下げているのかもしれません。

【うつ病・うつ状態になりやすい疾患】
中枢神経の病気→パーキンソン病・脳動脈硬化・痴呆
内分泌疾患→甲状腺機能低下又は亢進・糖尿病
ウイルス疾患→インフルエンザ・肝炎
その他→リウマチ関節炎・癌等

薬とうつ状態

2020.12.18 | Category: うつ病

高血圧の薬によってうつ病・うつ状態が起こる事があります。

ラウオルフィア剤(インド蛇木に含まれるアルカロイドの主成分、特にレセルピン)の高血圧薬はセロトニン、カテコールアミンを枯渇させて鎮静効果をもたらし血圧を下げるもので、それがうつ状態。を起こしやすいのです。

降圧剤のメチルドパは代謝されて中枢性のα受容体を剌激して血圧を下げますが、これもうつ状態を起こしやすい高血圧の薬です。

以前うつ病・うつ状態になった事のある人や、家族に既往症のある人はこれらの降圧剤は避けるべきです。

他の安全な降圧剤の中にもうつ薬との相互作用を持つ物があるので降圧剤を飲み続ける時はうつ状態、不眠、倦怠感等に注意すべきです。

また色々な疾患に用いられている副腎皮質ホルモンも、20人に1人くらいで精神状態に影響を与えると考えられます。

うつ状態が多いのですが、躁状態になる事もあります。量を調節すれば治る事もあるので、微妙なサジ加減が求められる薬といえます。

この他にうつ病・うつ状態を起こしたり悪化させる薬には、経口避妊薬、潰瘍治療薬(ヒスタミンH2遮断薬)、抗パーキンソン薬、抗結核薬、抗癌剤等があります。

高齢者では薬の代謝も悪くなり体内に蓄積されやすいので精神症状の副作用も強く表れやすいといえます。

しかし個人差があって全ての人に症状が出る訳ではないので服用中の薬による物とはみなされにくいのが現状です。

老年期のうつ病・うつ状態

2020.12.18 | Category: うつ病

老年期のうつ病の特徴は、うつ病の典型的な抑うつ症状が目立たず、非定型的な症状になる事です。

これは、内因性の要因より身体性や心因性の要因が、いくつか重なっている事が多い為です。特に身体疾患に伴って起こる例も多く、風邪、下痢、腰痛など軽症の病気が誘因になる事もあります。

また、脳卒中後遺症、潜在的脳梗塞、脳動脈硬化症、パーキンソン病、脳萎縮性疾患の初期等、脳の器質的、機能的変化も原因になります。

癌等の重篤な疾患に先立って表れる警告うつ病もあり、実際に何らかの身体疾患を罹患している事も多いので薬によるうつ状態も表れます。

更に、老年期には環境要因として、定年、配偶者や友人の死、子供の独立、新たな子供との同居、転居等、ストレスを受ける機会も増えています。

その為病気、死に関心を持ちやすく、不安感も強く、身体的不調も起しやすい為、初発症状が抑うつ状態より心気症状である事が多くなるのです。

このような例として、老年期のうつ病の、特徽のーつとして便秘の訴えも非常に多く、便秘に強迫的にこだわる例が見受けられるのです。

このような事から不安と抑うつを伴う神経症とうつ病の境界が不明瞭になり、心気傾向も強い為神経症と間違いやすくなります。

また最近の急速な社会の変化が老年者の生きがい、役割意識を低下させ、不安態や喪失態や焦燥態をもたらす要因になっています。

この事から、老年期のうつ病あるいはうつ状態は益々増加すると予想されているのです。

抗うつ薬の種類

2020.12.18 | Category: うつ病

うつ病は脳内神経伝達物質であるセロトニンやノルアドレナリン等のモノアミンが不足した為に、抑うつ感、不眠、強度の不安といった症状が出ます。抗うつ薬はこのモノアミンを増やす作用をします。

抗うつ薬には大きく分けて三環系(化学式の亀の甲が三つ)と四環系があります。最初に開発されたのは、1950年後半に第一世代の三環系でイミプラミンという薬品が第一号です。

うつ病に効果があると言う事で、その化学構造によく似た薬品も多く作られ、症状に合わせて使い分けられています。

うつ病に対して効果はあるのですが、副作用が強いので使いづらいという欠点があります。その副作用を軽くしたのが第二世代の三環系と四環系で、第一世代に比べて強い薬では無いので、軽症うつ病に使われる事が多いです。

現在の抗うつ薬の主流は三環系で、その効果は服用して2週間位から出て来ますが、効果が出る前に副作用が出て投薬が中断される事があります。

モノアミンにはアセチルコリンも含まれ、服用する事でその分泌量も増える為に口の渇き、排尿障害、便秘と言った抗コリン作用が出る為です。

抗うつ薬のプロザックはSSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害剤)の一種で、モノアミンの中のセロトニンだけを増やす事でうつの症状を軽減するもので、副作用も少ないと言う事で使われているのです。

うつ病・うつ状態の精神療法

2020.12.17 | Category: うつ病

うつ病・うつ状態は薬によって改善しやすくなりましたが、精神療法が無用になった訳ではありません。

ただしうつ病・うつ状態は深層心理的なアプローチによって自己を再構成させたりする必要は無いとされています。

精神療法には森田療法、断眠療法、運動療法、セルフヘルプ・グループ等多くの方法がありますが、患者さん本人が自己療法として取り入れやすい物に認知療法と防人関係療法があります。

認知療法とはアメリカの精神科医ベックによって始められたもので、誰にでも分かりやすく、具体的で現実生活に即して実行して行ける事が特徴です。

まず物事を歪めて抑うつ的に捉えている自分の感情や、そこから引き起こされた行動との関係に気付かせます。

それをコントロール出来る様に日常の中でトレーニングを行い、自分の問題を制御出来ると言う感覚を得る事で症状を改善させようと言う物です。

ポジティブ・シンキングに似ていますが、単に楽観的に考えれば良しとする物ではありません。(参考文献:「いやな気分よさようなら」デピット・バーンズ著/野村総一郎訳/星和書店)対人関係療法もアメリカの2人の精神科医が考えたものです。

うつ状態は人間関係の破綻をきっかけに始まる事が多いのですが、うつ病・うつ状態の人に特徴的な人間関係の問題点を調べ、それを変える事で改善しようという物です。

大切な人の喪失体験(死、離婚など)、関係性の中での役割の変化(結婚、出産、就職や異動など)、人間関係その物の欠如、コミュニケーション・ギャップ等に注目し、自分でチエックしながら人間関係の持ち方を変えて気持ちを軽くしようとして行く物です。(参考文献:「心が軽くなる人間関係」大野裕著/大和書房)

うつになる人

2020.12.17 | Category: うつ病

うつ痢になる人は、性格的に几帳面で責任感が強い、正直で良心的、他人に対しても調和を取る、等のパターンがあると言われています。

こうした性格は社会生活を営む上では理想的とも言える訳ですが、こうした長所が弱点ともなるのです。

つまり社会の中での役割に過剰に適応してしまおうとする傾向になり疲れてしまうのです。

すると自分に確信が持てず、自信が無かったりして過度に失敗を恐れてしまい、柔軟性を失ってバランスを崩して不安に陥ってしまうと言うわけです。

大切な人が亡くなったと言う様な場面だけで無く、昇進など本来はプラスの状況がうつのきっかけになってしまうというのも理解出来るでしょう。

更に最近では、若い人の中うつ状態の中には未熟さによる現実逃避的な抑うつが増加している事も指摘されています。

過保護や葛藤が無い成長過程によって精神的な自立が出来ていない為に、対人関係に過敏となったり、小さな事で葛藤を抱えてしまうと言うのです。

こうした傾向では社会的な適応も悪く逃避的になり、依存性が強く自己中心的な性格が見られます。

この様なうつの場合は抗うつ薬が効きにくく、性格や環境がより強く影響していると考えられます。

日本とアメリカのうつ事情

2020.12.17 | Category: うつ病

日本人、1億2千万人の内3%にあたる360万人がうつ病で、うつ病の前段階とも言えるプレうつ病は1千万人、潜在的にはもっと多いと言われています。

以前は30~50代の中年の人が多かったのに、最近では男女ともに20代の若者も多くなっています。

年々患者数は増える傾向にあるのに、日本では精神科医にかかる事は恥ずかしいという観念が根強く、我慢したり、会社に内緒で人知れず通院すると言う事が多いようです。

一方アメリカ人は、いつもパワフルで陽気というイメージがありますが、実は毎年1700万人もの人がうつ病と診断されて医療を受けています。

日本と大きく違うのは、かかりつけの精神科医がいる事がステイタスの様に見られる為、医療を受けるのも抵抗がありません。

薬に対しても、服用する事にほとんど抵抗感は無い様で、ビタミン剤感覚で抗うつ薬が使用されているのが現状です。

アメリカ全土で処方される薬の内、抗うつ薬のプロザックが胃薬等を差し置いて3位となっています。

アメリカ社会では結果が全てとされるので、早く効く抗うつ薬で些細な感情の落ち込みをもコントロールしてしまう傾向があります。

日本でも近年抗うつ薬の使用量が急増しています。

アメリカの様に簡単に抗うつ薬に頼ってしまうのは問題ですが、患者が周囲に気兼ね無しに精神科医にかかれる様になる事は大切な事です。

子供に見られるうつ状態

2020.12.17 | Category: うつ病

以前は子供にはうつ病は無いとされていました。

子供は精神と肉体の分離が不完全なので、心の不調はすぐ身体に影響を与え、精神症状としてよりも、チック・おねしょ・爪を噛む・どもると言った身体症状で心の悩みを表現すると考えられるからです。

しかし近年、明らかなうつ症状を表す子供が増えています。問題になっているのがうつ状態による不登校(登校拒否)の場合ですが、神経症性の不登校との違いを見分ける必要があります。

神経症性の不登校では、学校に行きなさいと言う親の催促等には過敏に反応して口答えしますが、うつ状態の場合にはそう言う事はありません。

うつ状態の子供は、学校へ行く準備等していたのに、登校時間になると頭痛や腹痛が起きて学校に行け無くなり、下校時間になると痛みが治ったりします。

また不登校だけで無く、好きなテレビゲームもしないでぼんやりしている、好物のお菓子も食べたがら無い、眠りが浅い、朝は調子が悪いのに午後は元気になる、と言う様に生活全体に渡ってうつ傾向が見られます。

ただ小学校低学年の場合には親との分離不安やストレスが原因になっている事もあります。

子供が学校に行けず、うつ状態を示す時は小児精神障害の専門医を訪ねるのが一番ですが、心身症を扱っている小児科でも対応出来る様です。  

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