- Blog記事一覧 -金属アレルギー
免疫反応は寄生虫や細菌、ウイルスといった種の大きく異なる抗原に対してより強く起こります。全て蛋白や糖質等のかなり大きな分子に対して反応するのです。しかし人間のアレルギー反応の中には、アクセサリー、義歯などに使用される金属冠に対して起きる金属アレルギーが有る事もよく知られています。しかし金属の分子は蛋白や糖質の分子量何千何万に比べるとケタ違いに小さくて、免疫系の受容体は金属分子を抗原として認識出来ません。外から最初に入ってきた細菌やウイルス等の抗原はまずマクロファージの中で消化されてペプチド化し、次にマクロファージ自身の主要組織に適合する分子(MHC分子)にくっついた物だけがT細胞の受容体と反応します。抗原だけでもMHC分子だけでも反応は起きません。ところがここに金属分子が入ってくるとマクロファージ自身のMHC分子の中に組み込まれてしまい、元々は全く抗原性の無かったMHC分子の立体構造を変えてしまう事が分りました。金属によって形を変えられた自分自身が非自己と認識され抗原となるのです。厳密には金属は抗原ではありませんが、マクロファージの蛋白分子に抗原性を持たせる事の出来る物質なのです。
« 免役の空白部位