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結核の再燃

2020.06.05 | Category: 感染症

結核は今や地球的規模で蔓延しており、全世界では年間800万人の結核患者が発生し200万人が死亡しています。

年々増加する傾向にあり、今後10年間で3000万人以上が結核で死亡すると予測されています。

主な要因としては、開発途上国における人口急増とエイズの流行で、栄養不良により抵抗力の弱い者が増加、HIV感染で免疫機能が低下した者が増えている事が上げられています。

WHOは1993年に「世界結核緊急事態宣言」を行ない、結核対策の強化を強く訴えました。

日本では明治,大正・昭和と過去数十年間に渡り結核の流行が続き、1950年頃までは死亡原因の第1位を占めていました。

戦後の栄養状態の向上と化学療法の徹底により、患者数は激減したのですが80年代位から逆に高齢者の患者が増える傾向にあります。

これは若い時に感染し発病に至らなくても、結核菌は潜伏感染の状態で体内で長期間過す為、高齢になって体力が低下すると菌が活動を開始、発病すると言った事例が数多くあるからです。

WHOが開発途上国における結核対策として推進している「短期化学療法による直接監視下医療 (DOTS)」は、患者が医療従事者の目前で服用する事を確認しながら行なう医療方法です。

患者に薬を渡してしまうと、勝手に飲むのを止めてしまう為本人が改善しないだけで無く耐性菌を作ってしまうからで、薬剤耐性結核菌の拡大を防ぐ事が今後の国際間の重要課題です。


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