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動脈硬化と中性脂肪

2019.12.19 | Category: 動脈硬化

粥状動脈硬化を作っている弼状部分は大部分がコレステロ-ルで、中性脂肪(トリグリセリド)の物は蓄積されていません。その為これまで動脈硬化と中性脂肪との関係はあまり重視されてきませんでした。しかし中性脂肪の値が高くなっても様々な代謝異常が発生して、それが動脈硬化に結び付くと言う事が分かってきたのです。一般に中性脂肪と言われる物は血液中ではカイロミクロンや超低比重リポタンパク(VLDL)として存在します。食物から摂取された脂質は肝臓に行く物と、小腸で再合成されてカイロミクロンになって代謝される物とに分かれますが、このカイロミクロンは次々に代謝されてLDLになって行きます。本来、LDLは最終的に血管の内皮細胞のLDLレセプターに結び付いて分解され、細胞膜やステロイドホルモンの合成等に利用されて行くのです。LDLを肝臓に持ち帰るいわゆる善玉コレステロールと言われているHDLは、肝臓で合成されると共にカイロミクロンがLDLへと代謝されて行く途中でも生成されるので、中性脂肪の代謝はHLDの量にも影響してきます。現に高脂血症では低HDLコレステロール血症を伴う事も多いのです。その代謝の途中の中性脂肪に富んだ物質はLDLその物より動脈硬化を起こしやすいという報告もあり、中性脂肪のコントロールは現在考えられている以上に重要かもしれません。


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