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血管石灰化とウイルヒョー

2019.12.18 | Category: 動脈硬化

血管壁の石灰化はどの動脈硬化の病変にも見られる現象ですが、一般的には老化によって起こるメンケベルグ型硬化(中膜石灰硬化)が知られています。50歳以上の人に多く、動脈壁の変性や壊死過程と理解され、血流を障害するほどの狭窄にはならない為従来はあまり重要視されていませんでした。つまり、動脈硬化の形成過程で最も重要な事はコレステロール代謝異常や平滑筋細胞の遊離や増殖であり、石灰化はその-過程の副産物の様に考えられていたからです。ところでI9世紀中頃に近代病理学の礎を築いたウィルヒョ一はこの血管石灰化が骨形成過程と類似している事から、アテローム硬化は石灰化過程では無く骨化過程であると指摘していたのです。その根拠は動脈壁に骨髄を伴った骨梁骨がある事を観察したからです。150年も前の観察は忘れ去られていたのですが、最近になって石灰化が骨形成過程に類似しているデータが次々出て来て、石灰化が骨形成と同様に能動的な因子によって調節されている可能性が出て来たのです。この事から石灰化を力ルシウム調節ホルモンによってコントロールで出来るかもしれないし、病変部の平滑筋細胞が骨芽細胞へ分化するという仮説も出て来ているのです。


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