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糖尿病と足の痺れ知覚異常

2019.12.03 | Category: 下肢

糖尿病は動脈硬化の危険因子で、症状が進行すると細小血管も詰まった為に足先からの壊疽や網膜症や腎症等の致命的な合併症を次々引き起こします。これらの合併症が出来る時に既に深刻な状態になっている場合が多いのです。最も早期から起こり頻度も高いのが、足の痺れやザラザラ感などの知覚異常や痛み等の末梢神経障害です。この足の末梢神経障害が起こる原因は、末梢神経系の解剖学特徴と高血糖との生化学的な特徴によって説明できます。末梢神経は長い軸索を伸ばして標的臓器である足の筋肉や皮膚に分布しています。その神経末梢部は間質に露出している為毒素や代謝異常の影響を受け易いのです。また末梢神経でもエネルギー維持の為に血管が必要ですが、中枢神経に比べ血管密度が低い為、虚血になり易い傾向があります。更に神経内血管部に神経繊維分布が無くて、神経内血流は自動調節機能が働かないのです。更に末梢神経系の神経節部分は血管壁に窓があり異物が通過し易いので、高血糖のような代謝異常の状態では末端ほど影響を受ける事になるのです。高血糖により神経繊維の変性が進行して脱落も起こります。正常であれば修復の為に神経成長因子や神経栄養因子が働くのですが、高血糖の状態ではその因子が欠乏しているのです。


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