- Blog記事一覧 -胃を切る
胃がんや胃潰瘍などで、胃の一部あるいは全部を外科手術で摘出しなければならないことがあります。
胃潰瘍の手術数は80年以降H2ブロッカーなどの特効薬の登場で激減していますが、それでも難治性胃潰瘍や胃穿孔や幽門狭窄等には手術が必要です。
胃の手術の安全性は昔に比べて格段に高くなってきていて、手術による直接死亡率は0.2~0.5%、です。胃や腸など消化管を切除した場合、食物の通り道を作り直す事を消化管再建といいます。
残胃と十二指腸を直接つなぎ合わせるビルロートI法、残胃と空腸をつなぐビルロートn法、又は十二指腸上部を縫合して閉じ、残胃を空腸の約30cm下につなげるルーワイ法などがあり、残す胃の大きさや食道への逆流の問題等を考慮して選択されています。
さて胃を切除した後、食欲は起こらないのではという疑問がわきますが、食欲をコントロールしているのは胃では無く脳の視床下部にある満腹中枢・空腹中枢で、2つの中枢のバランスをとるシグナルが血糖値なのです。
胃の摘出手術後は食道と空腸の吻合部は直径約1.5cmで、この吻合部が伸びて大きくなる事は無く、この穴より大きな食物はつかえてしまうので、小さく刻んだ食べ物をゆっくり十分に咀嚼する事が大切です。
よくある後遺症としてはダンピング症状といって、食後2時間程で脱力感・めまいなどの低血糖症状を起こす事があります。
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