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肝炎と肝臓がん

2020.01.13 | Category: 感染症

日本の原発性肝臓癌のほとんどがウイルス感染が先行して発症します。肝炎ウイルスには現在のところ6種類ありますが、このうち肝臓癌との関係が明らかになっているのがB型とC型の肝炎ウイルスです。しかし、なぜ肝炎ウイルスによって慢性肝炎から肝硬変、更に肝細胞癌が発生してより悪性度の高い癌に進展するのか、その全容は明らかになっていません。現在はその発癌の分子レベルのメカニズムが研究され次第に解明され始めていると言う段階です。ウイルスに感染して慢性肝炎を発症した肝組織では、アポトーシス(細胞死)が生じます。すると増殖能のある正常な肝細胞から細胞新生が起こりますが、それもまたウイルス感染すると言うイタチゴツコが繰り返され、次第に線維性結合織が増えて肝硬変になって行きます。この過程で肝細胞の染色体に組み込まれたウイルスが作る蛋白質がアポトーシス誘導能、DNA修復能、更に癌抑制遺伝子産物として脚光を浴びている蛋白質のp53に結合する事が明らかにされました。この事からウイルスの蛋白質がp53の機能を抑制する事により癌が発症するのではないかと疑われています。このp53の蛋白質の異常が、癌の悪性化、抗癌剤,放射線 抵抗性、転移、血管新生能にも関わっている可能性があり,p53の機能を解明する事は人の発癌機構を分子レベルで解明する上で大変注目されているのです。


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