- Blog記事一覧 -4月, 2021 | 伊勢原市笠窪 鶴巻温泉治療院 - Part 3の記事一覧
4月, 2021 | 伊勢原市笠窪 鶴巻温泉治療院 - Part 3の記事一覧
高血圧や糖尿病、動脈硬化、心臓病などの持病を持つお年寄りが急激に腹痛、下血、下痢を起こす虚血性腸炎が増えています。
大腸には無数の細い血管が取り巻いていますが、S状結腸や下行結腸付近の血管はもともと血流が少なく、急に血圧が下がると血流が悪くなります。
血流が通常の30%以下になると、腸の表面が浮腫、ただれ、潰瘍ができて、そこから血管が破れて出血するのです。血圧が下がる睡眠中に突然発症しやすいのも特徴です。
出血量は100~200ccで自然に止まるのが普通です。
腹痛は6~12時間程度続き、安静にする事で自然に回復します。
止血剤は血管を収縮させるので逆効果です。
絶食して腸を休めていれば、90%以上は数日で回復しますが、持病のコントロールや便通を良くしておく事が予防になります。
また薬が原因によって腹痛、下血、下痢が発症する薬剤性腸炎にも注意が必要です。
気管支炎、肺炎等には抗生物質が使われますが、健康な人の腸内には多数の腸内細菌叢が形成され、均衡が保たれていますが、抗生物質を服用すると腸内細菌叢のバランスが崩れ、有害な細菌が異常に増加する菌交代現象という状態になります。
発症の仕方は不明ですが、内服した抗生剤により細菌の種類が異なる事で、出血性大腸炎、偽膜性腸炎、MRSA腸炎と症状に違いがでます。
また抗生剤以外の薬剤としては非ステロイド系消炎鎮痛剤、降圧剤等による腸粘膜の傷害や腸管の血流障害でも発症します。
高齢者の腸では腸の粘膜や筋層の変化、腸内の細菌叢の変化等が現れます。
高齢者の小腸では筋層間神経叢が3割以上も減少し、バイエル板も減少します。
粘膜下層の繊維化が進み、粘膜の絨毛の高さが低くなって吸収面積が減少する事で消化機能が減少します。
とくに脂肪の吸収力が低下しますが、それに腸内細菌も悪くなると蛋白質の吸収までも低下します。
栄養の吸収力が落ちている高齢者の腸内の細菌異常を改善したところ、体重が増えて血清蛋白の値も上昇したといいますから、高齢者の栄養不良は腸の状態が大きく影響しているのは間違いありません。
一方、大腸でも年をとると粘膜や筋層が萎縮し、腸壁が弱る為動きが悪くなります。特にS字結腸や直腸等では食物の通過時間が若い人の2~3倍もの時間がかかる様になります。
筋層が萎縮する原因としては食べ物の繊維不足もその原因になっているようです。
さらに直腸壁の弾力性が衰えるので直腸に便が溜まりやすくなり、便秘になりやすいのです。しかも直腸に便が溜まっている事が感じにくいのに、肛門括約筋が緩んで便が漏れやすくなります。
特に便秘薬を長期間のみ続けている場合は、筋間神経叢の神経細胞が減るので、その傾向が強くなります。よく知られている事ですが、腸内細菌のバランスも加齢と共に変化します。
腸内にある細菌数そのものは変化しなくてもビフィズス菌は減少し、いわゆる悪玉の細菌の割合が増えるのです。
大腸がんば肺がんと共に近年急激に増えているがんです。部位では直腸とS状結腸のがんが全体の70%を占めています。
年齢別では男女共に50才代から急激に高くなります。この事から大腸の加齢が原因だと推定されます。
遺伝性以外では、明らかに欧米化した肉中心の食生活にある事は間違いありません。
大腸内腔では100種類、100兆個の腸内細菌がありますが、加齢によってその生態系が変化し、腐敗菌が増加する傾向になります。
この腐敗菌が発がん物質のニトロソアミン、誘発因子のインドールやスカトールなどのガスを腸内に発生させます。
更に食べ物と混ぜられて大腸に送られる胆汁酸からがんの誘発因子である二次胆汁酸を作り出したりします。
この細菌叢の変化の原因は長年の食生活が関係してきます。
肉や脂肪の摂り過ぎは、それを餌にする腐敗菌を増やす事になり、身体と共生関係にある乳酸菌を減少させ、大腸がんを誘発するのです。
しかし、大腸がんはイコール食生活では無く、ライフスタイルの総合的な生活習慣に基づくものと考えるべきです。
食事を野菜中心にするだけでは大腸がんの予防の決定打にはなりません。腸内の乳酸菌群を増やす事が大切です。
また、便秘が大腸がんの誘発因子という意見もありますが、疫学的に便秘の多い女性より同年齢の男性のほうが非常に罹患率が高いことからも、否定的な意見が大勢です。