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STD - Part 2の記事一覧

コンドームがSTDを防ぐ

2020.12.08 | Category: STD

コンドームというと避妊具のひとつでもありますが、STDの予防アイテムとして極めて有効な物です。病原体を含んでいる血液、精液、誼分泌液等と性器の粘膜との接触を遮断するからです。このコンドームが重要視されたのはエイズ予防です。現在世界のエイズウイルス感染者は5000万人を突破し、この内すでに1600万人が死亡しています。WHOが99年11月発表した調査で、コンドームの普及が遅れているアフリカでは2200万人がエイズ感染者で、エイズのために平均寿命が現在の59才が5~10年後に44才になる可能性があるといいます。一方タイやフィリピンでは、エイズ予防教育の効果でコンドームが普及し感染者の増加に歯止めがかかったのです。コンドームはエイズ以外のSTDにもたいへん有効ですが、我が国の最近の調査では東京都立高3年生の性交経験率が40%近くあり、そのうち常に避妊している人は30%しかなく、コンドームが使用されていない無防備なセックスがおこなわれているのです。そのためか15~19才代で性器クラミジア症や淋病といったSTDが急増していることが厚生省の調査でわかりました。エイズを始めとするSTDから身を守るためにも正しい性教育をすることが一番の予防なのです。
コンドームで防げるSTD
淋病、クラミジア、エイズ、B型肝炎、トリコモナス、赤痢アメーバ症、マイコプラズマ
コンドームで防げる可能性があるSTD
梅毒、性器ヘルペス、せんけいコンジローム
コンドームで防げないSTD
ケジラミ、カンジタ、疥癬、伝染性単核症

PID(Pelvic Inflammatory Disease)

2020.12.07 | Category: STD

最近STDという用語は一般的な言葉として浸透してきましたが、STDに深い関係のあるPIDという言葉は余り馴染みがありません。

PIDとは直訳すれば骨盤内の炎症性の疾患という事ですが、具体的には骨盤腹膜炎や卵巣卵管膿瘍、子宮内膜炎等の事を指します。PIDがSTDに関係があると言うのは、女性の場合STDは女性特有と言えるPIDを引き起こす事があるからです。

女性の生殖器は膣、頚管、子宮内腔、卵管というように、いわば外部に接しています。さらに卵管は腹腔にも開いています。

ですからSTDに感染した場合、これら外部に接しているも同然の臓器からの上行感染によって、骨盤内炎症性の疾患に移行し易い事です。

また月経の時、月経血は腹腔内に逆流する場合があります。子宮内でSTD等に感染していればこの月経血によって原因菌が腹腔内に入りやすくなりますから、月経もPIDの発症に影響していると言う事になります。

卵管が障害されると卵管周囲癒着や受精卵の輸送が上手く行かなくなるなどの機能障害によって不妊になる事もあります。

クラミジア等が増殖を繰り返して菌の量が増えたりすれば、骨盤内だけの炎症に留まらず上腹部にまで達する事があり、女性のSTDは男性より深刻だとも言えます。

梅毒トレポネーマ

2020.12.06 | Category: STD

梅毒トレポネーマは性交時に皮膚や粘膜の微小な傷口から侵入し、血行性、リンパ行性に全身に広がり、臓器や組織を侵す様になります。

以前はSTDの代表の様に言われましたが、ペニシリンの登場によって激減し、かつての100分のl、最近の保健所への届け出数は年間1000入程度です。

ですから若い医師は梅毒の患者を診察した事が無く、初期症状ではなかなか特定出来ずに別の病名にしてしまう事もあると言われています。

とは言え、約20年周期で流行を見せていて、終戦時の流行の後、1965、1985年前後にピークを持ち、梅毒の患者数は現行の統計法になった平成12年以前は低い数値でしたが少しずつ増加に転じ昨年あたりから着実に届け出患者が増え始めています。

潜在的な梅毒患者もじわじわと増加していると考えられます。保健所への届け出をみると献血、集団検診、人間ドック等で偶然発見される比率が高くなっているのです。

このトレポネーマの中には性病ではありませんが、皮膚に病変を作る種類もあり、世界各地で伝染病として流行している地域があります。

これらは皮膚の病変に接触する事で伝染します。現在梅毒トレポネーマはエイズの登場で後方に追いやられた感がありますが、潜伏しながら生き延びる為の次の戦略を練っているかもしれません。

撲滅寸前とも言われていますが、だからこそその逆襲に目を光らせる必要がある恐い病気なのです。

最近のエイズ薬

2020.12.06 | Category: STD

エイズ療法にはこれまで数種の逆転写酵素阻害薬剤を併用するカクテル療法が行われてきましたが、最近では新たにプロテアーゼ阻害剤が使われるようになっています。

逆転写酵素阻害薬剤はHIVのRNA遺伝子がヘルパーT細胞にある正常なDNAに逆転写する酵素の働きを阻害する薬剤でAZT、ddl、3TC等があります。

プロテアーゼ阻害剤は、HIVウイルスが転写されたDNAから作られる蛋白質を新たにHIVウイルスに組み立て様とする時に働く、プロテアーゼと言う酵素を阻害する物です。

どの薬剤もHIVの増加を防ぐのですが、HIVは大変変異しやすい為すぐに薬剤耐性を持ちます。

そこで最近ではHIVを各段階で阻害する事で抑制効果を強化する方法として、逆転写酵素阻害薬2剤とプロテアーゼ阻害剤を併用して使うHAART(高活性抗レトロウイルス療法〉が行われる様になりました。

その結果HIVのRNAが血中に検出され無くなり、ヘルパーT細胞数も増加する様になりました。

すでにエイズを発病した患者でも数年長生き出来、この良い状態が2年以上も続く事から、エイズは今や制御可能な病気であるとみなされる様になって来たのです。

しかし1日に20錠以上の薬を服用しなければならない事、強い副作用、高コストの問題等が課題となっています。

エイズにならない人々

2020.12.04 | Category: STD

HIVの感染は、ヘルパーT細胞やマクロファージの表面にあるCD4という蛋白質分子のレセプターから感染すると思われていましたが、1996年にCD4はHIVの吸着に関与するだけで、細胞内への侵入や、融合にはもうひとつの因子としてCCR5とCXCR4という蛋白質の存在が分かりました。

HIVにはマクロファージに感染出来るウィルスとヘルパーT細胞に感染するウィルスがあり、前者はCCR5を、後者はCXCR4をセカンドレセプターとして利用するのです。

マクロファージに感染出来るHIVは感染直後からエイズが発症するどの病期にも存在し、感染初期に重要な役割をになっていると考えられています。

ヘルパーT細胞に感染するHIVは無症候期からエイズを発症する時に患者の体内に出現し、強い殺傷能力からヘルパーT細胞の数を減少させる役割を持っていると考えられています。

このセカンドレセプターのCCR5が遺伝的に欠損している人が、不特定多数のHIV感染者と多くの性交渉を持ちながらもHIV全体の感染から免れる事が出来るという事が、注目を集めています。

多くは白人に見られ、健康上全く問題はありません。どうして感染しないのかというしっかりした説明はまだなされていませんが、CCR5の機能を抑制する事で感染が防ぐ事が出来無いかと研究が進められています。

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