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ホルモン - Part 2の記事一覧
男性を男らしくしているのは睾丸(精巣)のライディッヒ細胞から分泌されるテストステロンです。
脳の視床下部から性腺刺激ホルモン放出ホルモン(GnRHゴナドトロピンリリーシングホルモン)が下垂体前葉に作用して性腺刺激ホルモン(LH)を分泌させ、これがライディッヒ細胞を刺激するのです。
テストステロンは母親の胎内にいる時から働き、第一次性徴を形造るよう促して、生後は思春期が訪れるまではずっと低い値のままですが、10歳を過ぎる頃から分泌が盛んになり18歳頃にピークを迎えます。
第二次性徴で声が太く低く、ひげが生え、筋骨はたくましく、生殖器が大きくなって、子供を大人の身体へと変えるのです。
やがて加齢と共にテストステロン値はゆるやかに減少していき、40歳を過ぎる頃から明らかに低下していきます。
ただ男性には女性の更年期・閉経の様な劇的なホルモンの変化が無い為に、自分が更年期にさしかかっていると気づきにくいのが一般的です。
しかしすべての女性が間違いなく45~55歳の更年期に生殖能力を失うのに、男性には70歳を過ぎてもなお若い頃と同じ位のホルモン値を維持する人もいます。
血中テストステロンはほとんどが性ステロイド結合グロブリンの形で存在していて、標的組織で活性せず、実際に作用するのはフリー(遊離)テストステロンです。
血中絶テストステロン値は60歳頃からゆるやかに減少していきますが、フリーテストステロンは20歳代をピークに年齢と共に減少し、40歳頃から急に減る事が最近知られてきました。
フリーテストステロン値が充分で無いと、過労やストレスから来る精神的な疲労力値接の引き金となって、性欲減退やED(勃起不全)等性機能障害を起こす例がしばしば見られるのです。
のどぼとけの少し下にある甲状腺は、蝶の形をした20gほどの小さな柔らかい器官です。小さいといっても内分泌器官としては最大で、いうまでもなく甲状腺ホルモンを分泌しています。
この甲状腺ホルモンは1.体の成長を調節する 2.熱を産生させて体温を保つ3.心臓を活発に働かせる4.エネルギー代謝をスムーズにする等の働きがあります。
甲状腺疾患の多くが不足による機能低下症一橋本病で、この甲状腺ホルモンが不足するとすれば、上記の様な働きが障害されるのですから、症状も様々に現れます。
下表のような症状を呈するのですが、これらはあまりによく見られる症状なので甲状腺が腫れたりしない限り分かりにくいのです。
つまりこれらの症状を訴える患者さんがあれば、甲状腺機能低下症も可能性として考えるべきだと言えるでしょう。
可能性のある人にはTSH(甲状腺ホルモン放出ホルモン)の測定だけでも勧めた方がいいかもしれません。
アメリカでは血糖、コレステロール、ヘモグロビン、PSA(前立腺がん腫瘍マーカー)と並んでTSHの測定を呼びかけています。
甲状腺の機能が落ちてホルモンの分泌が少なくなると、TSHが沢山出て甲状腺の尻を叩きます。
つまりTSHの値が高いという事は甲状腺がしっかり働いていないという事を意味しているわけです。
橋本病といっても直ぐに医療が必要とは限りませんが、加齢によって状態が悪くなったり、動脈硬化が進行したりするので、経過をみていく事は必要です。
高齢の女性の1割は医療が必要な甲状腺機能低下症といわれています。
甲状腺機能低下症の症状
筋肉痛、関節痛、筋力低下、筋緊張、痙攣、めまい、頭痛、感覚異常、難聴、耳鳴り、嗄声、副鼻腔炎、皮膚乾燥、手根管症候群、徐脈、食欲低下、便秘、月経過多、無月経、貧血
甲状腺機能亢進症は200~300人に1人、甲状腺機能低下症が20人に1人、結節性甲状腺腫も20入に1人という高頻度です。
もちろん全ての人が直ぐ療法をを必要としている分けではありませんが、経過を見る事は必要です。
現に症状が出ている甲状腺機能低下症、バセドウ病、甲状腺がんも女性で70人に1人、男性で100人に1人位は見つかる様です。
亢進症の代表はバセドウ病ですが、動悸、眼球突出、甲状腺の腫れ等が目安になります。
ただ高齢者の場合はこれらのハッキリとした症状が出無い事もあるので 要注意です。
原因不明の体重減少等があったら真っ先にがんを、心配しがちですが、バセドウ病も頭に置いた方が良いでしょう。
手の震えが起こる事もありますが、これも老化による振戦と片づけない事です。
-方、甲状腺機能低下症の場合は様々な症状が自覚されますが、他の疾患と紛らわしいので専門医でないと、医者にも本人にも気づかれ難いというのが現状です。
消化管に関係するホルモンの多くは脳や神経にも存在している事が分かって、それらを脳一腸管ペプチドあるいは脳一消化管ホルモンと呼ぶ様になりました。
その中でも働きがある程度分かってきたものにコレチストキニンというホルモンがあります。
このホルモンは少数のアミノ酸が繋がった構造を持っていて、小腸粘膜から分泌され胆嚢を収縮させたり、膵臓から膵液を分泌させたりする作用があります。
脳の中では食欲の調節に働いていると考えられていましたが、1988年、カナダの生理学者のレ・フェルドの実験で別の作用がある事が分かりました。
このコレチストキニンを被験者の静脈に注射したところ、すぐに「世界が没落する感じ」「不快感や不安感」が数分問起こる事が分かったのです。
翌年、別の研究者の報告では、10人中7人の被験者がパニック発作を起したのです。いずれも数分という限られた時間です。
被験者の感想として「説明のできない恐怖感」「自分の身体を制御できない」等を感じたそうです。
ヒポクラテスの体液論によると胆汁質は短気で怒りやすい、精力的だといわれています。
不安は怒りに転嫁しやすいものです。怒りの表裏として、脳内の不安や恐怖が隠れているといえるかもしれません。
陰陽五行でも肝・胆は怒りですが、脳一腸管ペプチドの存在は先人の直感の鋭さを感じます。
また、コレチストキニンは脳内の重要な神経伝達物質がある部位に見つかっています。
そして痛覚とも密接に関係している延髄の孤束や最後野とも関係していますので、コレチストキニンの脳内分泌が多い人は痛みに対して敏感になりやすいという研究もあります。
いずれにしてもこのコレチストキニンは不安を誘発する物質であり、また胆嚢を収縮させる物質という不思議なホルモンなのです。
主なホルモンは内分泌器官から分泌されますが、その大元締めになっているのが間脳の視床下部です。
ただ視床下部が個別の必要なホルモンを分泌するわけではありません。
視床下部は全身からの情報をにらんでホルモンの分泌を増加させるか抑制するかを決め、下垂体に刺激ホルモンを出すように刺激ホルモン放出ホルモンを出すだけです。
例えば甲状腺ホルモンが足り無いとなれば、視床下部は下垂体に向けて甲状腺刺激ホルモン放出ホルモンを出します。
脳下垂体はそれを受けて甲状腺に向けて甲状腺刺激ホルモンを出して、甲状腺はやっと甲状腺ホルモンを出すというわけです。
視床下部は様々な“刺激ホルモン放出ホルモン”を下垂体に出して、下垂体は各臓器に“刺激ホルモン”や“形成ホルモン”等を出すというわけです。
この調節される物が調節する物に働きかける事をフィードバック調節と言いますが、これには刺激して分泌を促進する正のフィードバックと、分泌を抑制する負のフィードバックがあります。
下垂体が具体的に働きかける内分泌臓器には甲状腺、副甲状腺、心房、副腎、腎臓、すい臓、精巣、卵巣だけでなく、胃や十二指腸等があります。