- Blog記事一覧 -くすりの記事一覧

くすりの記事一覧

サプリメントを飲むタイミング

2021.06.20 | Category: くすり

サプリメントは生活の中に定着していますが、飲み方のタイミングで、より効果を上げる事が出来ます。

基本的に、サプリメントは食後に飲みます。食後は消化液も沢山出ているので成分もより吸収されるからです。

ビタミンA、D、Eは脂溶性で、体内に留まるので1日に1回でも良いのですが、ビタミンCやB群は水溶性で3時間もすれば余分な量は排泄され始めます。

ですから1日の内でも分散させ、少量を毎食後に飲むのが理想です。

飲み合わせの点で言えばビタミンB群はどれもが協同して働きますから、B1だけとかB2だけと言うよりもB群が万遍無く入っている物が良いでしょう。

又ビタミンA、C、Bは協同して抗酸化の力をより発揮しますから一緒に取りましょう。

その時、鉄剤はビタミンEと一緒に摂ると効果を消し合ってしまいます。両方飲んでいる人は8時間以上の時間以上の時間差を取って飲むべきです。

もっとも鉄剤は自己判断で飲むミネラルではありません。

鉄の過剰摂取は免疫を傷め、癌の発生に関係するのであくまで医療上必要となった場合にだけ飲むべきです。

カルシウムの場合は午前中と寝る前に飲むのがベターです。

ビタミンCやビタミンDと一緒に摂るとより効果的ですが、ビタミンDはあえてサプリメントとして摂る必要は無いでしょう。

全体にミネラルは食物繊維と一緒だと吸収され難くなりますが、これはサプリメントの成分だけで無く食品の場合でも同様です。

生活改善薬

2021.06.20 | Category: くすり

1998年以降、アメリカで開発された新しい薬が次々と日本でも発売され、話題となりました。

主なものに勃起不全改善薬のパイアグラ、発毛剤のミノキシジル(リアップ)、うつ病薬のSSRIなどがあり、これらの薬はアメリカではライフデザイン・ドラッグ(生活改善薬)と呼ばれています。

これらの薬に共通するのが、飲まなくても生命にかかわるものでは無いけれど、「生活や人生を豊かにしてくれる」働きがあります。

これらの新薬は元々アメリカの医薬品開発の最先端の研究から生まれたもので、バイアグラは心臓病の血管拡張剤として、ミノキシジルは血圧降下剤として開発されました。

思わぬ副作用の方が効果があると分かって、急きょ開発用途を変更して誕生したのです。またうつ病薬のSSRIはアメリカで爆発的人気になり、その代表的なものがプロザックです。

SSRIは日本でば99年6月に発売されましたが、アメリカのように気軽に精神科医にかからない為か、それほどの人気にはなっていません。

また低用量の経口避妊薬ピルは申請から9年たってようやく日本でも承認され、99年9月から発売されました。

そして2000年春にアルツハイマー病薬「アリセプト」が発売され、予防や進行防止に効果を上げています。

これらの薬の他にも、スイスで開発された肥満薬「ゼニカル」は、膵液の消化酵素リパーゼの働きを抑えて脂肪を7割しか吸収させないようにした画期的な薬です。

禁煙薬

2021.06.19 | Category: くすり

タバコの煙には4000種類の物質が含まれ、その中に200種類の有害物質があり、特にタール、ニコチン、-酸化炭素、ニトロソアミン、ベンツピレン、アンモニア等の発癌や粘膜刺激症状を引き起こす物質が含まれています。

そのタバコを止められ無くしているのがニコチンで、身体内に非常に吸収されやすく、煙を吸い込んで数秒で脳に達し、ほとんどの脳内神経伝達物質に影響を与えます。

不快感を和らげて快感をもたらしますが、一定のニコチンが体内に無いと逆に不安になります。

長期間喫煙しているとニコチンが常態化して脳内神経伝達物質の分泌量にも影響を与えます。

血旅中のニコチンがある一定量を保っていないと脳細胞の活動レベルが下がり、不安、いらつき、眠気等の症状がでるのです。

ニコチンは喫煙終了後約30分で半減するので次の1本が欲しくなります。

依存症の人が禁煙すると、24時間以内にニコチン願望、欲求不満や怒り、不安、集中困難、落ち着きの無さ、徐脈、食欲増加の離脱症状が現れます。

禁煙補助薬としてニコチンパッチ、二コチンガムという、ニコチン代替療法剤を使い、少量のニコチンを外部から持続的に補給し離脱症状を抑えながら、習慣、癖などの日常生活を含めた禁煙指導をするという方法や商品名チャンビックスの様なニコチン受容体作動薬があります。

ニコチン受容体を刺激する事で少量のドーパミンを放出させて離脱症状を減らす薬でバレニクリンの薬理作用です。

副作用として抑うつ、自殺行為が一部に見られこれらの補助薬は医師の処方が必要です。

吸入薬を内服すると

2021.06.19 | Category: くすり

我が子に喘急用の吸入薬硫酸サルブタモールを飲ませ、殺害を図ったとして逮捕された准看護婦の母親の事件がありました。

普通に処方されている、喘急用の気管支拡張剤をお茶等に入れて飲むと死ぬ事があるのかと言う事で、喘息の発作時に「ベネトリン吸入旅」(製品名)を使用している人々から「この薬は安全なのか」と言った問い合わせが数多く殺到しました。

基本的には同じ薬でも吸入するのと内服するのとでは体内への吸収量と作用範囲が大きく異なります。

吸入薬は専用の吸入器(ネブライザー)に少量入れ、吸気と共に吸い込みます。

喘息の薬ならば末梢の気管支粘膜に直接働きかけて、気管支を拡張させます。

その働きは局所的なので毎日適量を吸入するだけでは、効果が他の臓器に及ぶ事はありません。

吸入用の薬をもし内服すれば、胃腸の粘膜から吸収され、静脈から心臓を介して全身を巡るので、作用が全身に及びます。

硫酸サルブタモールには交感神経を刺激する働きがあるので、過度に服用すれば心悸亢進や不整脈を始め様々な交感神経緊張の症状が表れます。

吸入する時は用量をきちんと守れば決して危険な薬ではありません。

事件であった様に、もし吸入薬を点滴で体内に入れたとすれば、肝臓で分解されてしまう前により強力に直接的に全身の各器官に作用するので、内服の10分の1の量で同じ働きがあり、生体にとっては極めて危険な結果になります。

抗ヒスタミン剤とH2拮抗剤

2021.06.19 | Category: くすり

ヒスタミンは肥満細胞から放出され、鼻粘膜に刺激を与えて鼻水、喘鳴、鼻づまりの原因になります。

花粉の季節では抗ヒスタミンの点鼻薬を手放せ無い人も多いでしょう。

このヒスタミンその物は1種類しかありませんが、ヒスタミンの受容体には3つのタイプがあります。

アレルギーや風邪の時の症状はH1というヒスタミン受容体が引き起こします。

ところで、胃潰瘍の薬として使われているのがH2ブロッカー(H2桔抗薬)です。

このH2は実はヒスタミン受容体なのです。

肥満細胞から放出されたヒスタミンがこのH2受容体のある胃腸の粘膜(壁細胞)刺激を与え胃酸の分泌を促します。

ですから肥満細胞からのヒスタミンの放出によって壁細胞は常に刺激が与えられ酸産生を持続的に促しているのです。

ですから、この刺激を抑えれば壁細胞が胃酸を作ら無くする事が出来るのです。

そこで開発されたH2桔抗薬は胃液の産生を抑える抜群の効果を発揮するのです。

従来の制散剤の様に胃液の酸性度を一時的に低下させるのでは無く、持続的に長時間抑える事が出来る利点があります。

しかし、胃潰瘍ではヘリコバクターピロリ菌の関与等が指摘されている様に原因その物に対する方法も考えられて来ており、H2詰抗薬も制散剤もいずれも対症療法という限界がある薬です。

また最後のーつのH3受容体は、神経細胞の中にあり、主に腸管において神経系と免疫機構の連絡に関与していると言われています。

偏頭痛薬

2021.06.16 | Category: くすり

慢性的に頭痛を訴える人は、日本で3000万人以上いるといわれています。

頭痛のタイプは、ベルトで締め付けられるよ、うな痛みは緊張型頭痛、ズキンズキンと脈打つ痛みは片頭痛で、両方を併せ持つ人も多いのです。

緊張型頭痛はストレスや根をつめる作業からくることが多く、われわれの施術以外では、休養や睡眠で軽快します。

片頭痛は前頭・側頭部の血管が拡張し、拍動を伴って感覚神経を刺激することで起こり、眼の前がギラギラとして眼が見えなくなる「閃輝暗点」という前兆を伴うことがあります。

痛みがひどくなってから鎮痛薬を飲んでもなかなか効きにくく、痛みがひどくて嘔吐する人もいます。今現在使用できる主な片頭痛薬には酒石酸エルゴタミンがあって、片頭痛の原因となる血管の拡張を抑える作用があるのですが、片頭痛の予兆を感じたらすぐに飲まないとよく効きません。

しかも頻繁に飲み続けると、かえって痛みがひどくなる「薬剤誘発性頭痛」になりやすいのです。その様な市販薬が効かない重い場合にはトリプトブタンが処方されるケースがあります。

海外ではすでに100ケ国以上で使用されているトリプタン系の薬剤、コハク酸スマトリプタンとソルミトリプタンで、頭痛発作が最もひどくなってから服用しても効果があるのです。

また片頭痛に伴う吐き気、光や音への過敏症を抑える効果も優れているといいます。患者の選択肢も増えてます。

細菌の自己防衛

2021.06.16 | Category: くすり

細菌側から見れば抗生物質はやっかいな敵です。ペニシリン登場後の1950年には細菌感染による死亡数は半減して、その後更に減少して人間側の勝利と思われていました。

しかし、数年後には細菌も防御態勢を整えて抗生物質に耐性を持つ赤痢菌や大腸菌が登場したのです。

とくにペニシリンを分解する酵素、ペニシリナーゼを持つ黄色ブドウ球菌の登場は人間側には脅威でした。

1960年にはこの酵素に分解されないメチシリンという抗生物質を開発したのですが、1年後にはメチシリンに耐性を持つ黄色ブドウ球菌(MRSA)が出て来ました。

1980年代には多くの細菌に効く第3世代と呼ばれるセフエム系抗生物質が数多く使われる様になりました。

しかし、この抗生物質は黄色ブドウ球菌には効き目が弱かった為に、両方に耐性を持つMRSAが爆発的に増えて、院内感染の問題が次第に深刻になったのです。

高齢者や手術後の免疫力が落ちた状態では感染が致命的になりますが、今のところバンコマイシン、アルベカシン、テイコプラニン等の抗生物質が有効です。

しかしイタチゴッコで先を越されるのは時間の問題だと言われています。

また細菌側にはもう一つの防御法があります。

それは身体に侵入して、特定の場所に定着して増殖する時に細菌の表面から粘っこい物質を作りお互いにくっついて塊りになり、抗生物質の攻撃を避けようとします。

このバリアーをバイオフィルムと言いますが、このネバネバ物質により、体内でしぶとく生き延びて潜伏しているのです。

これに唯一対抗出来るのがエリスロマイシンという抗生物質なのですが、元々殺菌力は弱く、どうもバイオフィルムを作るのを妨害する働きがある様です。

いずれにしても、これからも人類と細菌の闘いはエンドレスに続く筈です。

成長促進剤の抗生物質は禁止を

2021.06.07 | Category: くすり

抗生物質が耐性菌の出現で効かなくなってきています。同じ抗生物質を長期間服用したり、原因菌が完全に死滅する前に薬を中断したために耐性菌が出現したという報告もありますが、それ以上に畜産の集約農場における成長促進剤としての抗生物質の使用が問題と考えられています。

米国では抗生物質の全生産量1200万トンの約50%が畜産に使用されています。

人に使う抗菌薬と類似の抗生物質が腸の中の細菌を殺し、病気を予防し、短期間で太るという利点があるからです。

しかし微量の抗生物質が体内に常時あることが細菌に耐性を獲得する機会を与えることになり、それが糞尿と一緒に自然界にばら撒かれているのです。

耐性菌が知らない間に私達の身体に付着していたり、体内に定着する事になるのです。

また抗生物質が残留している肉を毎日食べれば抗生物質を服用している事になり、腸の中にいる菌が知らない間に耐性を獲得する事になります。

健康な時はいいのですが、病気になって抗生物質を服用した時に、耐性がない細菌が死滅する事で、腸の勢力バランスが崩れ、耐性菌が急激に増加し症状が悪化するのです。

この耐性菌を撃退する為には抗生物質の無い環境を作る事で、耐性菌が耐性を持た無い菌との競争に負けて、勝手に滅んでいく状態を作るしかありません。

1998年欧州ではこの問題で畜産の肥料に抗生物質の使用を禁止したのですが、我が国では厚生労働省のHPを読むと慎重使用との記述になっています。

2001年にはリカバロンという初めて化学的に合成された抗生物質が切り札として登場しましたが、すぐに耐性菌が確認されました。

細菌は生き残りを賭け、耐性を得るスピードが速くなってきているのです。

抗生物質の使用を厳しく制限しないと、感染症に薬剤が効かないという問題が更に深刻になっていくのです。

ドラッグ・デリバリー・システム

2021.05.30 | Category: くすり

薬に副作用はつきものです。例えば抗がん剤等はがん細胞を殺すために他の健康な細胞を傷つけてもやむ得ないとして選択されますが、その分副作用も強く出ます。

もし薬を標的のがん細胞だけを狙って標的臓器に届けることができたら、しかもがん細胞が活性化する時間に最適な濃度の薬を効かせることができたら副作用に苦しむ事もなくなるでしょう。

この様に、薬が体内で量的、時間的、対象的にコントロールされて最適の投薬効果を目指すのがドラッグ・デリバリー・システム(DDS:薬物配送システム)です。

この考え方自体は1980年頃から研究されてきたのですが、これまで成功したシステムは多くはありませんでした。

ところが最近ではバイオテクノロジーやナノテクノロジーなどの最新技術の発展でより有効な方法が実用化されてきています。

例えばモルヒネのように、耽溺性たんできせいの副作用を起こさせないで鎮痛効果を得るために、皮膚から適量ずつ吸収させてコントロールする事ができるようになっています。

また経口では吸収できなかった薬剤も鼻などの粘膜からスプレーして吸収させる事もDDSとされています。

さらに経口や経皮では1日から数日しか効かないのが、デポ剤という、1回の注射で数週間もの効果を持続させる事のできる注射等もでてきています。

その他にも超音波を使って皮膚から薬を吸収させたり、マイクロチップを埋め込んで薬をタイミングよく放出させる方法等が期待されており、副作用が少なく、少ない投与量が可能なシステムが開発されていくものと思われます。

高齢者の薬

2020.11.12 | Category: くすり,老化

臨床経験が長いと患者様が薬でろれつが回らない状態でぐったりされている現場を何度か経験しています。脳疾患の可能性もあるので救急医療に連絡しますが、結果は全て薬の作用によるものでした。高齢者は複数の疾患を持っている事が多く、飲んでいる薬も多種類、多量である事は少なくありません。元になる疾患に加えて老化による生理的変化も重なるので、壮年期とは違った薬の効き方になります。一般的に高齢者は体内脂肪率が増える上に脂肪の代謝が落ちるので脂溶性の薬が体内に蓄積されやすくなります。また体内水分量は減りますから、水溶性の薬も濃度が上がります。加えて肝臓での薬物代謝酵素が減ったり肝血流量が減って機能が落ちる為に薬の代謝が悪くなり血中濃度が上がります。更に腎機能が落ちて老廃物が尿中に排出され難くなっても血中濃度は上がります。この様に高齢者の生理は薬の効き方が強くなり過ぎる傾向があり、それだけ副作用も強く現れたりします。詳しい統計では無いのですが、ボケ症状で受診する高齢者の2割位は薬による副作用だとみなす事が出来るとも考えられます。整体院に来る高齢の患者さんが日常どの様な薬を飲んでいるのかを把握し、症状の変化にも副作用の可能性を常に考えておく事が大切です。
要注意 高齢者の薬による副作用
睡眠薬→ せん妄、記憶障害
抗不安薬・抗うつ薬→ パーキンソニズム
ステロイド→ 糖尿病、消化管出血、白内障、緑内障、骨組穀症
カルシウム桔抗剤→ 急激な降圧、便秘、浮腫
利尿降圧剤→ 低K血症、尿酸値上昇、血糖値上昇
β遮断剤→ 心不全、うつ病
ベンザミド誘導体の消化薬→ パーキンソニズム
H2ブロッカー→ せん妄、昏迷

当院のスケジュール