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ミトコンドリアの話

2019.09.20 | Category: 遺伝子

遺伝を担っているのは細胞の核の中のDNAですが、実はそれだけではありません。核の外側の細胞質にあるミトコンドリアという小器官は、エネルギーを作る、いわば細胞の発電所の様な働きをしていて、固有のDNAを持っています。総塩基数は核のDNAの40万分の1しかありませんが、核の中のDNAとは独立して分裂します。ミトコンドリアは太古の昔、エネルギーを効率良く作る事の出来る細菌を原子細胞が取り込んでエネルギーエ場として利用し始めたのでは無いかと考えられています。ひとつの細胞が持っているミトコンドリアの数はその細胞が必要なエネルギーによって違いがあり、数十から数千の開きがあります。またこのミトコンドリアのDNAは、核のDNAのように誤コピーを修復する機能を持って無いので、突然変異が10倍も起こりやすいのが特徴です。この為ミトコンドリアDNAは人の進化を研究するのに適しているのです。人類の先祖は20万年前アフリカに住む一人のイヴだったと言う研究もこのミトコンドリアの遺伝子の研究から導きだされたものです。卵子は多くのミトコンドリアを持ち、精子もしっぽの部分に持っていますが、受精の時精子のミトコンドリアは無くなりますからミトコンドリアは母由来のDNAだけを持つ事になります。

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