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喫煙と動脈硬化

2019.12.12 | Category: 動脈硬化

タバコの煙の主要成分であるニコチンはカテコールアミノの分泌を刺激して、血圧の上昇に関わります。またトリグリセリドの生合成を促してVLDL(超低比重リポ蛋白)の生成を増加して、その代謝産物であるLDLの血中レベルを上げるのです。動脈硬化の原因の1つと言われているLDLは体内で酸化変性して酸化LDLになるとマクロファージに取り込まれ細胞内に入り動脈硬化の原因になります。特に喫煙者のLDLはタール成分の活性酸素により非喫煙者に比べ著明に酸化するのです。また血中には抗動脈硬化作用があるHDLがあります。これは細胞内に蓄積されたコレステロールを引き抜き肝臓へ転送する作用があり、コレステロール逆転送系と言われています。喫煙者ではこの作用もかなり低下している事が解ってきました。米ウェークフォレス大学のジョージ・ハワード博士らが米医師会雑誌に45歳以上65歳未満の男女約11000人を対象に喫煙と動脈硬化の関係を約3年間追跡調査し、画像診断で動脈を調べた拮果、1日1箱以上のたばこを30年以上吸っている人は、喫煙経験が全く無い人と比べて動脈硬化が進む度会いが平均50%高かったと報告しています。ニコチンには血小板凝集能も亢進する作用もあります。喫煙する事で、動脈硬化の原料である酸化LDLを作り、ニコチンで血管を硬めると言う事になるのです。


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