- Blog記事一覧 -ヘリコバクター・ピロリ菌

ヘリコバクター・ピロリ菌

2019.10.26 | Category: 胃腸

胃の中は強い酸性であるため細菌は存在しないとみなされていたのですが、1984年にヘリコバクター・ピロリ菌が確認されて以来、胃炎や胃潰瘍の考え方は大きく変わりました。現在胃炎や胃潰瘍の9割はこのピロリ菌によるものとみなされています。ピロリ菌は4~8本の鞭毛を持つ短い螺旋状のグラム陰性菌で、胃の粘液を栄養源とする細菌です。ピロリ菌に感染すると、胃壁に好中球やリンバ球が浸潤してきて急性の炎症を起こします。それを放って置くと胃腺の萎縮が起こり更に上皮細胞が化成して慢性的な胃炎になってしまうのです。ピロリ菌は栄養源である粘液を摂取する為に、粘液細胞の上部にある粘液顆粒を切り取ったり、細胞の中で粘液顆粒を溶かしてしまいます。当然粘液細胞は死んで無くなりますからその部分は粘膜で覆われ無くなり、強い酸である胃酸に晒されて潰瘍になっていく訳です。このピロリ菌は遺伝子的に5つの違った種類があり病原としての活性に違いがあります。日本人の40才以上の約8割がピロリ菌の保菌者といわれていますが、全ての保菌者が胃炎や胃潰瘍になる訳では無いのも、このピロリ菌の遺伝子の違いによるものでしょう。ビロリ菌に感染している人の2~3%か慢性の消化性潰瘍に、0.5%が胃癌になると言われています。


当院のスケジュール