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ピロリ菌の功罪

2019.10.25 | Category: 胃腸

消化性潰瘍や胃炎は対症療法によって一時的に症状が無くなっても8割ほどが再発しますが、ビロリ菌の除菌をした場合、8割以上再発は無くなります。この事でも多くの胃炎や消化性潰瘍がピロリ菌によるものだと言う事が分かります。ところが、一方でピロリ菌は胃食道逆流症等のディスペプシア(胃もたれや胃の痛みがあるのに、検査をしても症状の原因になりそうな病変が見つからない時、これを機能性胃腸症と呼ぶ)を抑える働きをしているのではないかと見られています。原因はよく分かっていないのですが、ピロリ菌がサイトカインなどに変化をもたらす事、ピロリ菌感染で生じるアンモニアが胃酸を薄めて結果として食道粘膜を守る事に慟く事等が考えられます。ピロリ菌の感染率が滅少しているアメリカではこの四半世紀に重症の胃食道逆流症や食道腺癌、胃噴門部癌などが7倍にもなっています。日本でもピロリ菌の除菌を行った後胃食道逆流症の発症;報告されています。それはビロリ菌感染して萎縮性の胃炎で胃酸のが少なかった所に胃炎が改善されて酸の分泌が増え、日本で少なかった胃食道逆流症等が増えたものとみられます。先進国は一般染率が低いのですが、その中で日本はズバ抜けて感染率が高い先進国です。ピロリ菌の感染は幼児期だけ成立すると考えられていますが今の若い人達には感染率か低くなってきているので、日本でも胃癌、消化性潰瘍、胃炎等が減って欧米並みの胃食道逆流症や食道癌が増えて来るのかもしれません。


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