- Blog記事一覧 -糖尿病と免疫疾患
2型糖尿病は生活習慣病の代表格です。一方1型糖尿病は自己免疫性と特発性の物に分けられますが、80~90%は自己免疫性です。
膵臓のインスリンを作るβ細胞の破壊によって起こり、多くの場合急激に悪化し、早期にインスリン注射が必要になります。
この自己免疫の異常はT細胞が原因です。
で細胞は通常、細菌や異物等と自己を構成している細胞を見分けて、それが敵であると認識するとキラーT細胞に指令を出して攻撃をしかけます。
更にその指令をB細胞に送り抗体を作らせて敵(抗原)をやっつけます。このT細胞は胸腺で教育を受けて通常は自己を攻撃しない様になっています。
これを自己免疫寛容といいます。
この自己を攻撃しない様になっているメカニズムは、細胞表面に主要組織適合抗原(MHC)=HLA(ヒト白血球抗原)という抗原(目印)があるからです。
その目印の見分け方を学習した筈のT細胞に異常が起こると自己免疫寛容ができなくなって膵臓のβ細胞に攻撃を仕掛け、最後には破壊してしまうのです。
この免疫異常は遺伝子の異常やある種のウイルスがきっかけになって突然発症すると考えられています。
HLA遺伝子の近くに数個の原因遺伝子が存在していると推測されていますが、正確にはどんな遺伝子なのか分かっていません。
最近の研究では糖尿病の発症前にもインスリンやβ細胞に対する自己抗体が見つかっており、膵臓のβ細胞に対する免疫異常は糖尿病を発症する以前から始まっている様です。
従って2型糖尿病と見られるものにも、1型が混じっている事が考えられます。