- Blog記事一覧 -グリア細胞
脳の細胞には大きく分けて脳細胞(ニューロン)とグリア細胞の二種類があります。これまでグリア細胞は脳細胞のサポート的な存在であると考えられてきましたが、研究が進むにつれて多様な働きと種類がある事が分かってきました。
グリア細胞には神経幹細胞から生まれたアストロサイト、オリゴデンドロサイト、それに脊髄由来のミクログリアがあります。
アストロサイトは、シナプスの形成やその維持、シナプスの情報伝達を効率よく行うだけでなく、細胞外液の恒常性維持、血液脳関門の形成等に重要な役割を担っている事が分かってきました。
またオリゴデンドロサイトはアストロサイトと同様に神経幹細胞から生まれていますので、ニューロンと密接な関係を持っています。
神経軸索に巻き付いて有髄神経を形成したり、神経線維を束ねます。末梢神経線維にミエリン鞘を作るシュワン細胞と同系の細胞です。
一方、ミクログリアは脳内の免疫系としての役割を担っています。同じ骨髄由来の白血球は免疫系の代表的な細胞ですが、この白血球は脳関門を通過することができません。
その代わりに実質的に脳内の免疫防御を担っているのがミクログリアなのです。ミクログリアは通常は突起を沢山伸ばして周囲のニューロンに接触して異常が無いかを監視しています。
ニューロンの異常が起こると、修復を手助けするような成長因子を出します。
また、腫瘍細胞や細菌を発見するとそれを殺すようなサイトカインや蛋白質分解酵素、あるいは活性酸素等を放出します。
更に、死んだニューロンや不必要な他の脳細胞等があればそれを捕食して、脳内を清掃する仕事もしているのです。
このように脳の免疫系に重要な働きをしているミクログリアですが、一旦その働きが異常になると、正常なニューロンも殺してしまう事かあり、アルッハイマー病は、このミクログリアの暴走によるものであると考えられているのです。