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がんの転移

2021.06.04 | Category: がん

がんは一般的にリンパ節に転移しやすいのですが、がんの種類によって転移しやすい組織があります。

胃がんや大腸がんは肝臓に転移しやすく、乳がんは骨に、脳腫瘍は肺に転移しやすい傾向があります。

肝臓や肺は毛細血管が多いので血流に乗ってがん細胞が運ばれてきやすいといえます。

しかし、がん細胞がなぜ転移するのか、まだ謎の部分が多いのです。

例えば、大腸なら大腸の組織は細胞同士が接着分子で繋がり、細胞が生きている間は剥がれる事はありません。

がん細胞も正常細胞の中で接着分子をもってその組織として増殖していきます。

しかし、悪性のがん細胞の中には正常細胞とも、がん細胞とも手を結ばない、組織的な性格が失われたがん細胞が生まれるのです。

それが血流にのって他の臓器に行ってそこでまた増殖を繰り返す事になります。

しかし、接着分子がなくなったがん細胞がどうしてもう一度別の臓器に接着できるのかという問題が残りますが、これも決着はついていません。

しかしがん細胞にも転移先の好き嫌いがあり、組織によって接着できるかどうかの違いがあるのだと考えられます。

実際、実験で肺や肝臓の接着分子に変異を起こさせる操作をするとがん細胞は転移できません。

その事から悪性のがん細胞は肝臓や肺の組織の接着分子との相性が良いという事がいえるでしょう。

がん細胞は血管の細胞と細胞の間を抜けて外に出て組織に定着して増殖し始めますが、栄養が欠乏するので血管新生因子を出して毛細血管を作り、栄養を補給していく事も知られています。

あのサリドマイド薬がその血管新生を妨害する事で転移を防ぐ効果がある事です。


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