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大腸ポリープと癌

2019.10.22 | Category: 胃腸

大腸ポリープの中で最も発生頻度が高いのが腫瘍ポリーブ(腺腫)です。孤立性の物と多発性の物があり、特に100個以上密集する物をポリポージスと呼んでいます。組織学的には腺管膿腫、絨毛腺管腺腫、絨毛腺腫に分けられますが、絨毛膿腫が最も癌化する率が高い厄介な物です。この中で家族性大腸膿腫症と呼ばれる腺腫は大腸に数百から数千にも及ぶポリポージスが生じますが、これは常染色体優性の遺伝子疾患です。ポリポージスが癌の発生に深く関与している事は、臨床的には明らかになっていますが、家族性大腸腺腫症の研究の中で遺伝子レベルの異常が見つかり、その原因遺伝子が大腸癌の発生に関与している事が分りました。この家族性大腸腺腫の原因遺伝子として見つかったのがAPC遺伝子でした。この遺伝子の異常が大腸腺腫を起こし、更に大腸癌の発生の発生にも関与していたのです。このAPC遺伝子は実は癌抑制遺伝子の一つだったのです。APC遺伝子の変異は、家族性大腸腺腫症ばかりでなく、一般の非遺伝性の大腸腺腫や腺癌にも認められています。更に、微小な腺腫の段階においてもこのAPCの不活性化が観察される事から、一般の大腸癌の発生の初期の腺腫の段階にも深く関与している遺伝子だと考えられています。


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