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自己免疫疾患と腸の病気

2019.10.23 | Category: 胃腸

腸に炎症が起こり痛み等を誘発する病気の総称をIBD(炎症性腸疾患)と言います。細菌性、ウイルス性、真菌性、薬物や化学性、内因性のもの等炎症を起させる原因は様々あります。この中で潰瘍性大腸炎とクローン病は特発性IBD群に入り現在の日本の若者に急増している難病指定の病気です。潰瘍性大腸炎は粘膜に炎症が起こり、ただれや潰瘍になり下痢を起こします。この機序は他のIBDと同じですが、潰瘍性大腸炎では下痢が何度もぶり返し血便もひどくなります。繰り返し下痢が起こるのは本来吸収されるべき脂肪が吸収されずに沈着してリンパ管を詰まらせてしまうからです。この脂肪が大腸菌の餌になりその際に酸を放出させ、炎症が再燃していきます。初期は血便や下痢程度で痛みもありませんが、進行すると敗血症など多くの病気を誘発させます。一方クローン病は潰瘍を伴う肉芽腫性炎症病変で、初期から痛みがあり下痢と発熱を伴います。病変部位は小腸と大腸が大半ですが、口腔から肛門まで消化器系のどこにでも起こります。潰瘍性大腸炎が粘膜及び粘膜下層までに限局しているのに、クローン病は痔ろうの様に腸管に穴を開ける事もあります。原因は特定されていませんが、今までに考えられたものとして自律神経障害性、アレルギー説、腸内酵素異常説等がありますが、一種の『自己免疫疾患』では無いかという説が近年一番有力です。


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