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体液の記事一覧
我々の身体の60%は水で構成されていますが、細胞の内外の水の量はー定に保たれる様になっています。
人体を構成する細胞はそれぞれ固有の容積がありますが、その容積をー定に出来るのは容積調節機能があるからです。
さて、この容積調節機能として知られているのは細胞膜にあるイオンや水を透過させるイオンチャンネルと水チャネルがあります。
またチャネルとは異なるメカニズムで物質を輸送する膜貫通型輸送蛋白をトランスポータと呼んでいます。
このトランスポータには、ある特定の物質のみを輸送するユニポータと2種類以上の溶質を同時に同じ方向に輸送するシンポータと、逆方向へと輸送するアンチポータがあります。
このメカニズムが破綻すれば、細胞は死んでしまいます。
細胞の死に方には二通りあります。細胞死としてよく知られているアポトーシスの場合は細胞から水分が出て行き収縮して死んで行きます。
もう一つのネクローシス細胞死の場合は細胞に水がどんどん入り込んで膨張してしまう事で起こります。
いずれの場合も、容積調節機能が破綻する事が第1の原因なのです。特に虚血や低酸素状態にさらされた細胞はネクローシスを起す事が知られています。
細胞の容積変化の原因となる浸透圧負荷は、多くの疾病によってもたらされます。
この細胞の容積調節機能の破綻こそ、多くの細胞病態の姿であり、細胞死に関わっている事が明らかにされつつあります。
清涼飲料水を大量に飲み続けると急性の糖尿病になるというペットボトル症候群が、10~20代の若者に見られる事が以前からいわれています。
これからの暑い夏には喉が渇きコーラ、ジュース等の清涼飲料水を飲む事が多くなるので注意が必要です。
1.5リットルのペットボトルの清涼飲料水に含まれる糖分の量は、コーラには150 g (スティックシュガー30本分)果汁添加の炭酸飲料水では140 g、スポーツドリンク100 gです。一日の糖分摂取量20g以下と言われていますから、1本で約7倍強を摂取した事になるのです。
最近流行の野菜ジュースや果汁100%の果汁ジュースにも果糖や蜂蜜等もかなり含まれているので、身体に良いからといっても飲む量は控える事です。
砂糖は食物と違って直ぐに吸収されるので血糖値が急激に上がります。
その血糖値を下げる為にインスリンが大量に分泌され、逆に低血糖状態になり、体がだるくなったり、イライラしたりします。
これを習慣的に飲み続けると子供でも糖尿病になります。
口の渇き、身体が痩せてきた、だるいといった症状があれば、直ぐに受診が必要です。
更に糖尿病という事に気が付かず飲み続ければ、急激な血糖値の上昇にインスリンが機能しなくなり、意識がもうろうとして昏睡状態(糖尿病性ケトアシドーシス)となり、ついには死亡するケースもあるのです。
予防としては清涼飲料水を水代わりに飲まない様にして、喉が渇いたら、まず糖分の無いお茶や水等を飲むという習慣を身に付ける事です。
生命の源である海水には60種類以上の元素が溶けていますが、この物質を溶かす能力こそ水の持っている特性の一々で、これ無くして生命が誕生する事も無かった筈です。
1950年代、ハロルド・ユーレイとスタンレー・ミラーが実験で原始地球の海を再現して、水素、メタン、アンモニアの混合物を入れ、いわゆる生命スープをガラス管で20数時間以上放電したところ、8種類のアミノ酸、7種類のカルボン酸が作られ、その後、小さな蛋白質も作られました。
蛋白質の種類は人では100万種類はあると言われています。
この蛋白質は生命現象に密接な関係を持ち、細胞の原形質の10%内外を占め、酵素や細胞膜の母体にもなり、更に筋肉や血液や毛髪等身体の構成成分の大部分になっています。
蛋白質はアミノ酸がペプチド結合で繋がっている高分子化合物ですが、水にコロイド状に溶ける物もあるし、全く溶けない物もあり、身体の各細胞や組織の働きによって多種多様です。
アミノ酸から複雑な化学的な工程で作られる蛋白質は水の特性である吸収・移動・化学変化の促進という溶媒の役割無しでは作られないのです。
しかし、蛋白合成から生命が誕生したとはいえ、自己複製を促す核酸との関係は生命の謎としていまだ解明されていません。
体の水分は大人で体重の60% (新生児では80%)と言われています。
体の水分と言っても細胞の中にある物と外にある物とで分けられ、成分的にも違いがあり、その違いこそが細胞を働かせていると言えます。
細胞内液では陽イオンのカリウムイオン、陰イオンのリン酸イオンが、細胞外液では陽イオンのナトリウムイオン、陰イオンの塩素イオンが中心になって浸透圧を調整する事で生体の働きを支えています。
細胞内液と細胞外液は2:1の割合で、それぞれ体重の40%と20%になります。
その細胞外液の内60%は組織間液で残り40%が体を循環する血液です。
体の水分と言えばすぐに血液を思い浮かべますが、血液自体は体重の8%くらい、60kgの人で5リットル程に過ぎません。さて年齢によって水分は変化します。
新生児の水分は体重の80%にも及びますが、これは成長する為には生理反応が激しく起こらなければならない為だと言えます。
体の反応に関係している物質は水に溶けてこそ働きますが、水分が多くて粘度が低い方が、物質の活性が高まって生理反応が起こりやすいのです。
成長する面ではその方が有利になります。ただしその分変化が早く不安定なので、環境に対しての防御は大人より弱いと言う事になります。
受精卵が分裂を繰り返しながら胎芽となり、子宮壁に着床すると直ぐに胎芽の周囲に羊膜が形成されます。
羊膜は胎児の成長に伴って細胞分裂を繰り返しながら大きくなり、胎児と羊膜の間の子宮腔に、羊膜上皮から分泌された羊水が次第に溜まって行きます。
スペースを作って胎児の運動と発育を肋けるのです。
最初は無色・無臭の液体ですが、妊娠末期には胎児の産毛や皮膚、皮脂や胎児の尿等が混じって、白濁したり黄色味を帯びたりします。
胎盤は胎芽が着床した時から約10週間かけて完成し、この後羊水は急に量が増えて、妊娠末期には500~1000ccに達します。
胎児は妊娠14週頃から羊水を飲み込む様になり、胎児自身の老廃物は胎盤循環を通して母胎へと運び出され、一部は胎児自身の尿として羊水中に排出されます。
羊水は多過ぎても少な過ぎても胎児に重大な影響を与えます。
羊水過少では胎児と羊膜が癒着したり発育不全や奇形が生じやすく、逆に慢性羊水過多だと早期破水や分娩時微弱陣痛等で母子共に危険な状態に陥りがちです。
しかし分泌される羊水量と胎児が飲み込む量はほぼつり合っている為、羊水は常にほど良い量が保たれます。
そして分娩時には羊膜に加わる圧力によって子宮口が開き、破水によって産道を消毒し、潤滑剤の働きをして胎児を外界へと送り出すのです。
動脈側の毛細血管から染み出した血漿は、組織を巡って静脈側の毛細血管に戻ります。この時水分や電解質、アミノ酸等の物質の交流が行われます。
しかし全てが静脈に戻る訳では無く、一部は組織の中に染み出したままになります。
その染み出した液体が毛細リンパ管に入りリンバ液になるのです。
ですから血漿とリンパ液は成分的によく似ているのですが、リンパ液は血漿より蛋白質の量が少なくなっています。
もちろん多くのリンパ球が含まれています。
毛細血管から組織の間に出る液体は1日に20リットル程度ですが、その10分のl位が毛細リンパ管に集められます。
血液は心臓というポンプによって激しく循環していますが、リンパ管にはポンプがありません。
その代わり弁があるので逆流しないようになっています。
リンパ液の流れはもっぱら筋肉の活動や動脈の拍動に影響されて一方向に流れ、最終的には長さ40cm程の太いリンパ管である胸管に集まって、鎖骨下静脈に注ぎ込んで静脈血と合流します。
いわぱリンパ管は血管のバイパスとも言えるでしょう。
リンバ管の所どころにはリンパ節があって、T細胞やB細胞、マクロファージ等がぎっしりと詰まって免疫を担う最前線となっています。
脳脊髄液(髄液)は脳や脊髄を外力から守り、脳の栄養吸収や代謝産物の排泄路としての働きをします。
最近の研究で、髄液の主成分であるベータトレースという酵素が、クモ膜や軟膜に働きかけ、睡眠物質であるプロスタグランジンD2を髄液に放出し、そのD2が前脳基底部に作用して睡眠を調節している事が分かって来ました。
今まで睡眠調節をするのは視床下部や脳幹だと考えられていましたが、脳の外側にある膜や髄液も関連している事が分かって来たのです。
この髄液は大脳の側脳室という空洞に脈絡叢という血管の塊がありここで作られます。
この髄液は-定の方向に流れ、第三脳室、中脳水道、第四脳室、マジヤンデイー孔、ルシュカ孔を通ってクモ膜と軟膜の間のクモ膜下腔に出て脊髄と脳に分かれ、その後、頭頂にあるクモ膜穎粒から矢状静脈洞に達して吸収されます。これを髄液循環と言います。
一日に作られる髄液は約500ccですが実際に流れている量は約150ccですから、髄液は一日に3~4回ほど交換されている事になります。
ところで40~50代で多いクモ膜下出血の検査はCTスキヤンで大部分は分かりますが、出血の少ない場合は腰椎穿刺の髄液検査をして、出血があれば髄液は薄いピンク色になっています。
ちなみに脊髄は腰椎-番までですから、その下を穿刺すれぱ中枢神経に刺さる事はありません。
腎臓は身体の体液や血液をろ過して身体の内部環境を保つ為の臓器で、横隔膜の下の脊柱両側に各1個あります。
腎臓にはろ過装置の糸球体と、浄化精製装置である尿細管からなるネフロン(腎単位)があり、一つの腎臓に100万個、2つあわせて200万個が働きます。
この組織の数は生まれてから後増える事は無く、25歳では100%働いていますが、それ以降は僅かずつですが壊れて行き、60歳頃になると140万個になります。
歳を取るにつれて腎機能が低下して行く事になるのです。
糸球体を通る原尿は1日150~200リットルですが、その中にはブトウ糖、ナトリウム、アミノ酸など、身体にとってまだ使える物質が入っています。
尿細管では水分とこの物質を再吸収して、原尿の1%が尿になります。
この尿細管には糸球体に近い近位尿細管と少し離れた遠位尿細管があり、その役割は違います。
近位尿細管では内容を選択する事無く80%を再吸収し、糸球体でろ過され無かった大きなサイズの老廃物や有害物質を輸送体を使って尿中へ捨てます。
遠位尿細管では残り20%の原尿を選択的に調節して再吸収します。
身体の中にはナトリウムやカルシウムが過剰か不足しているかを感じるセンサーがあり、その指令で遣位尿細管は血液や体液の濃度を調節しているのです。
人間の体内には多くの水分が貯留されていますが、その比率は年齢によってかなり変化します。
新生児ではおよそ80%が水分ですが、成人男性で60~65%です。女性は男性に比べ体脂肪が多い為、55~60%位になり、70歳以上の老人になると水分は50%にまで減ってしまいます。
これらの総水分は細胞の中(細胞内液一筋肉や臓器など)と細胞の外(細胞外液一血液やリンパ液や間質液等)に分けられますが、3分の2は細胞内に存在します。
老化が進むと筋肉や臓器等が萎縮して細胞の絶対数も減り、細胞内水分の量がかなり減ります。
もちろん血液や同質液も減少するのですが、細胞内液の減少が著しいのです。
ところで20歳の男性の体脂肪率は平均15%なのに比べ、75歳女性の体脂肪率は平均30%もあります。
これは体脂肪が多いという訳ではなく、細胞内の水分が失われた為相対的に脂肪の割合が多くなってしまう訳です。
高齢者は体脂肪その物や骨量も減って体重が軽くなっているのですが、水分の減少はよりいっそう激しいのです。
特に寝たきり老人の場合、本人が渇きを訴えられなかったり、または本人自身が渇いている事を自覚していない事も多いので、周囲は脱水症に注意する必要があります。
正常な状態では、毛細血管から組織に染み出した血漿は、静脈側の毛細血管やリンパ管に回収されます。
その組織旅が回収されずに組織間に溜まったままになったのがむくみ=浮腫です。
足を指で押して跡が付く程度の浮腫でも2~3リットルの水が溜まっていると言われますから、当然体重も2~3kgは増えています。
原因としてはリンパ管に組織間液が回収されない場合と、毛細血管内の水圧が異常になってリンパ管への回収が間に合わ無かったり血管系に回収される量が減る場合とがあります。
心不全による浮腫は静脈血を上手く心臓に運ぶ事が出来ない為で、上昇圧が必要な下腿がむくみます。
長時間座っていて下肢がむくむのは、下肢の骨格筋がポンプ作用として働か無い為、静脈血が滞って組織間液を回収運搬出来無くなる為です。
また血漿蛋白のアルブミン濃度も水分の浸透圧を決めていて、アルブミンが減ると組織間液を回収出来ないで浮腫になります。
ネフローゼでアルプミンが失われたり、アルブミンを作る肝臓が故障すると当然浮腫が生じます。
腎性の浮腫では両方の瞼の浮腫、肝硬変等では下肢の浮腫と腹水が特徴です。
浮腫なのかどうかは脛骨の様な骨に接した皮膚を指で押しますが、症状が軽い場合は分かりにくいので1分間程押し続ける事も必要です。
また痩せた人や高齢者では膝の後ろ側の皮膚をつまんで指の跡が残るかどうかで調べます。