人の遺伝子を組み込んで、動物に薬になる蛋白質を効率良く生産する技術をいわゆる動物工場と呼んでいます。アメリカのジェンザイム・トランスジェニクス社はクローンヤギに人の血液の凝固を抑える抗トロンピン3と呼ぱれる蛋白質を合むミルクを作らせる事に成功しました。日本では伝統の技術を生かした方法もあります。それはカイコに有用蛋白を作らせる方法です。カイコは人と同じ真核細胞を持っており、大腸菌で生産される物に比べて人蛋白質に近いのでアレルギー反応や副作用が少ない等の利点があります。また、日本では絹の生産は激減しましたが、カイコの飼育の伝統があり、育てるのも簡単で短期育成(卵から23日で成虫)で体重も一万倍になるという昆虫工場として最適な条件を満たしているのです。実際、農水省管轄の蚕糸・昆虫農業技術研究所では、遺伝子組み換え技術でインターフェロンやHIV予防薬のgp120という蛋白質等の生産に成功しています。今後もこのカイコエ場から薬になる有用蛋白質が生産される可能性があります。