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心筋梗塞も遺伝子療法

2019.09.19 | Category: 遺伝子

遺伝子療法には患者の細胞を体外から取り出し、試験管の中で遺伝子を組み込み再び注射で体りに戻す方法と、遺伝子を組み込んだベクター(運び屋:核の中こ遺伝子を運びこむウイルスの事)を直接体内に注入する方法があります。遺伝子療法の世界初の成功例は1990年アメリカで行われてアデノシンデアミナーゼ酵素欠損症(ADA)による重症複合免疫不全症の女児に対して前者の方法で行われました。後者の方法では「心臓の冠状動脈付近に血管を新生させる」と言う医療行為です。アデノウイルスを用いたベクターにVEGFと呼ばれる血管内皮細胞新生因子の遺伝子を導入し、これを心筋梗塞等で狭窄した血管付近の心筋に注射すると、2週間程で新しい血管が狭窄部位を避ける様にバイパスして新生し、心筋への血流量が完全に回復するほどの成績を上げているのです。又、実験段階ですが肝硬変のあるラットの筋肉に肝細胞の増殖を促す肝細胞増殖因子(HGF)を使った遺伝子療法が行われています。約8割のラットで肝硬変で肝細胞が破壊されて起きる繊維症が完全に消失し、残り2割にも繊維症が約80%消失したという報告があります。


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