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くも膜下出血

2021.06.12 | Category:

突然やって来て、いきなり生命を奪う怖い病気がくも膜下出血です。脳をカバーしている三層の膜の内、外の硬膜と内の軟膜の間の僅かな空間にクモの巣の様に張ったものがくも膜です。

このくも膜の大切な働きは脳を走る血管を支える事です。

この血管が破裂してしまうと、くも膜下腔の脳脊髄液中に血液が混入してしまいます。

その状態を「くも膜下出血」と言うのです。

くも膜下出血は頭の外傷や血管奇形からも起こりますが、全体の70~80%は脳動脈瘤の破裂です。

この動脈瘤が脳に出来やすいのは脳そのものの構造と機能にあります。

脳の重さは体重の僅か2%前後なのに、エネルギー消費は全体の20%にも達します。

つまり、脳はそれだけ膨大なエネルギーと酸素を必要とする為に、沢山の血液の安定供給が不可欠なのです。

その為に太い動脈が脳を複雑に走っているのです。

頚椎の横突孔を通って左右の椎骨動脈が合流して脳底動脈となり、これと左右の内頚動脈とが一緒になって脳に血液を供給しています。

つまり、椎骨動脈と内頸静脈の間を血管が結び、環状構造のウィリス動脈輪を作り、血液の供給が絶対に途絶えない様な仕組みになっているのです。

そこから大脳に行き渡る血管が沢山枝分かれしています。

この血管群は脳という狭い空間の入り組んだ中を通る為に、身体の他の血管より、かなり無理な方向の転換を強いられます。

その為に血管の走り具合によって血管の壁は激しいスピードで血液が当たり、内壁が侵食され易い所も出て来るのです。

たまたまその様な構造の血管の極端な物に動脈瘤ができ、くも膜下出血を起こしてしまうのです。


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