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直立歩行

2019.12.09 | Category: 下肢

二足歩行はヒトを特徴付けるものですが、その前提には直立して立つ事が必要です。私達は2時間でも3時間でも歩き続ける事が出来ますが、両足を揃えて1時間立ち続ける事は苦痛です。つまり立っている状態と言うのは歩くよりも動力学的にみて条件が厳しく困難なのです。歩く場合下肢の筋肉のほとんどを総動員しますが、立っている時は下腿三頭筋、いわゆるふくらはぎの平目筋、腓腹筋が中心になり、これらの抗重力筋は時間的、物理的に限度があるからです。直立能力は、両足を揃えて立っている時足の裏にかかっている重心によって判断する事が出来ます。直立時、重心は常に動揺によって微調整をされながら保たれていますが、6 歳頃には約6c㎡であった動揺面積は、急速に発達していき20代では約2c㎡と最も狭くなります。これが50歳代を過ぎるとまた急速に大きくなって行きます。また重心のブレも子供の頃は前後であったものが加齢に伴って左右にブレる様になり、高齢者では左右前後に小刻みにブレる様になります。この「立つ」と言う事の条件は全身を安定させる能カとも言え、老化や神経系疾患の指標にもなります。人によってはフラフラしたり足がもつれたり、ついには両足を揃えて立っている事も困難になりますが、それは加齢によって足腰の筋力が弱くなったと言うだけで無く、脳の衰えによって直立能力が損なわれた結果であるとも言えます。

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