- Blog記事一覧 -細胞死と水
我々の身体の60%は水で構成されていますが、細胞の内外の水の量はー定に保たれる様になっています。
人体を構成する細胞はそれぞれ固有の容積がありますが、その容積をー定に出来るのは容積調節機能があるからです。
さて、この容積調節機能として知られているのは細胞膜にあるイオンや水を透過させるイオンチャンネルと水チャネルがあります。
またチャネルとは異なるメカニズムで物質を輸送する膜貫通型輸送蛋白をトランスポータと呼んでいます。
このトランスポータには、ある特定の物質のみを輸送するユニポータと2種類以上の溶質を同時に同じ方向に輸送するシンポータと、逆方向へと輸送するアンチポータがあります。
このメカニズムが破綻すれば、細胞は死んでしまいます。
細胞の死に方には二通りあります。細胞死としてよく知られているアポトーシスの場合は細胞から水分が出て行き収縮して死んで行きます。
もう一つのネクローシス細胞死の場合は細胞に水がどんどん入り込んで膨張してしまう事で起こります。
いずれの場合も、容積調節機能が破綻する事が第1の原因なのです。特に虚血や低酸素状態にさらされた細胞はネクローシスを起す事が知られています。
細胞の容積変化の原因となる浸透圧負荷は、多くの疾病によってもたらされます。
この細胞の容積調節機能の破綻こそ、多くの細胞病態の姿であり、細胞死に関わっている事が明らかにされつつあります。