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粘膜免疫

2021.06.16 | Category: 免疫

免疫と言えば胸腺や骨髄等、もっぱら全身を巡る免疫システムの解明が進んでいます。

注射によるワクチン等も全身系に免疫応答を与える物です。

しかし、その様な全身的な免疫システムとは違った免疫システムを持つのが粘膜免疫です。

外界に面している皮膚に対して、「内なる外」である粘膜は皮膚の200倍以上の面積を持ち、様々な異物が体内に侵入する第一関門と言えます。

食べる事で入ってくる抗原に対してはパイエル板や盲腸等の腸管免疫システムが、呼吸によって侵入してくる抗原に対してはアデノイドや扁桃、気管支等の粘膜組織が働いています。

また泌尿生殖器や外分泌腺も含まれ、粘膜は一番大きな免疫臓器だと言えます。

粘膜では粘液や酵素等によって抗原が侵入し難くなっているだけで無く、分泌型lgAが中心になった体液性の免疫と、上皮細胞間のリンパ球や固有のT細胞等が連携を取りながら免疫システムを作っています。

粘膜免疫が面白いのは、例えばワクチンの注射によって全身性の免疫システムに抗原抗体反応が出来ても、粘膜系には免疫を作る事が出来ないのに、粘膜系に免疫応答が作れれば、全身系にもその免疫応答を誘導する事が出来る事です。

つまり口や鼻の粘膜を通してワクチンを投与すれば、粘膜にも全身にも免疫が出来るのです。

これまでは体内に入ってしまった病原体に対して免疫を成立させる事が中心でしたが、粘膜免疫の研究がもっと進めば、最初のバリアである粘膜の部分で抗原抗体反応を成立させたり、または免疫寛容を作る事で免疫疾患を抑える事が出来るでしょう。


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