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小脳の容量はおよそ130~150gあります。確かに大脳と比較しては小さいのですが、他の動物の小脳と比較すると大変発達しています。
この小脳の表面は、まるでコンピュータの回路図のように大変規則的な構造になっていて、密度も濃くしかも折り込まれているため、その重さに比べて広い面積になっています。
また小脳表層は厚さ1mm程の灰白質で三層の神経細胞層が立体的な美しいパターンを作っています。第三層の顆粒細胞層は人体の組織では最も細胞の分布密度が高い場所です。
第二層にはプルキンエ細胞と呼ぶ極めて特殊な西洋梨状の大型細胞が一層に並んでいるのが特徴です。小脳の中心部は神経線維が充満する髄質という構配になっています。
小脳の働きと言えば運動や動作を円滑に調整する適応制御系である事は知られています。
例えば、野球の投手の直球を打とうとする時、動体視力や反射的な運動能力による的確なバットコントロールが必要です。
この時打者はスピードや球筋を見極めながら、瞬間的にバットスウイングの微妙な誤差を小脳回路が修正している筈です。
よく、新人ピッチャーに捻れられ完封されるのは小脳回路に相手のパターン情報が少ない為に修正が難しい為です。
また、自分の身体の切れなど日々変化している事で起こる様々な動作時の誤差も実は小脳回路で修正しているのです。
ただ、小脳全体ではこの適応制御系の働きばかりで無く、まだ分からない部分多くがあります。
小脳に疾患があると言語がおかしくなる事から言語に関係する場所がある筈ですが特定されていませんし、運動の器用さだけでなく、頭の働かし方の器用さにも小脳が関係しているという仮説も出てきています。